2005年10月18日(火)「しんぶん赤旗」

小泉首相が靖国参拝

5回目強行、内外から批判


 小泉純一郎首相は十七日午前、東京・九段の靖国神社を参拝しました。同日から行われる秋の例大祭に合わせたもので、内外の参拝中止を求める世論を無視して強行しました。中・韓両国は直ちに強い抗議の意思を表明。二十三日から予定されている町村信孝外相の訪中日程にも影響が出ることが予想されるなど、日本外交への重大な影響は避けられません。


 小泉首相の参拝は二〇〇一年から毎年おこなわれ、今回で五回目。首相は、午後の記者会見で、同日参拝した理由について「例大祭だからだ。やはり年一回参拝することはいいことだ」とのべました。

 今回の参拝では、一般参拝者と同じ拝殿前で一礼黙とうする参拝方式を取り、記帳もしませんでした。細田博之官房長官は玉ぐし料や献花料は公費から出していないとのべました。同日昼の政府・与党連絡会議で小泉氏は「総理大臣・小泉純一郎でなく、一人の国民として」参拝したことを強調しました。

 この間、中国、韓国はじめアジア諸国からは、A級戦犯を合祀(ごうし)し、侵略戦争を公然と正当化する靖国神社への首相の参拝中止を求める声が強まり、特に今年は終戦六十年の年にあたることから各国で民衆の激しい抗議行動も起こっていました。

 首相の靖国参拝をめぐっては各地で違憲訴訟が起こされており、九月三十日には大阪高裁で政教分離原則に違反するとの判決が出されました。違憲判決は〇四年四月七日の福岡地裁に続くもので、今回の参拝はこうした司法判断をないがしろにすることにもなります。

 首相は昨年十一月、チリでの日中首脳会談で胡錦濤国家主席から参拝中止を迫られて以降、参拝を継続するかは「適切に判断する」と明言を避け、総選挙では「争点にしない」との態度を示してきました。


■中国・韓国が日本政府に抗議

 中国の王毅、韓国の羅鍾一両駐日大使は十七日夕、それぞれ町村信孝外相を外務省に訪れ、小泉純一郎首相の靖国神社参拝に強く抗議しました。

 王大使は「戦後六十年の節目の年に、そして中国の有人宇宙飛行が成功裏に帰った今日の朝に、あえて(首相が)A級戦犯がまつられている靖国神社に行くということに、われわれは憤慨を感じている。強く抗議せざるを得ない」と表明。「日本の指導者は日中関係の大局を重視していない。(これからの)日中関係を損なうことは間違いない」と批判しました。

 羅大使も「再三にわたって靖国参拝は控えてほしいという要請をしていたにもかかわらず、こういうことになり驚きと怒りを禁じえない」と抗議しました。

 ▼例大祭 春と秋に行われる「英霊の顕彰」=戦死者の武勲をたたえるための祭り。靖国神社の最大の年中行事の一つ。戦前は戊辰戦争における「官軍」の戦勝記念日や、日露戦争後の陸軍凱旋(がいせん)観兵式(春)、海軍凱旋観艦式(秋)が行われた日に定められていました。

 秋の例大祭に併せて、戦死者の新たな合祀(ごうし)を行う「霊璽(れいじ)奉安祭」が行われます。右翼改憲団体の関係者からは「八月十五日より参拝にふさわしい」との声があがっています。


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