2005年10月19日(水)「しんぶん赤旗」

国会の視点

日歯連疑惑 幕引き狙う

迂回献金禁止せず


 今回の政治資金規正法「改正」のきっかけとなった日本歯科医師連盟(日歯連)事件では、公判を通じて政治とカネをめぐる闇の部分が明らかになりつつあります。その最中に国会が行った規正法「改正」は、国民の期待にこたえるものでしょうか。

■あいまい証言

 「(自公案は)改正どころか改悪だ」―十四日の衆院倫理選挙特別委で日本共産党の佐々木憲昭議員は同日付の「東京」社説も紹介し、与党が日歯連事件で政治に突きつけられている真相解明と再発防止の責務に反し、証人喚問を拒否し真相解明にフタをして幕引きを図ろうとしていると批判しました。

 日歯連事件は、公益法人の日本歯科医師会が政治献金をするために一体化した政治団体の日歯連をつくり、自民党旧橋本派の一億円ヤミ献金事件や迂回(うかい)献金疑惑を引き起こしたもの。

 旧橋本派の村岡兼造元官房長官の公判では、弁護人の冒頭陳述で「いわゆる迂回献金の方法により、国政協(自民党の政治資金団体・国民政治協会)を経由して特定の自由民主党議員に献金される場合もあった」と指摘されています。

 十一日の公判で橋本龍太郎元首相は、一億円もの小切手を受け取りながら「他の方がそうおっしゃるなら、あったかもしれない」とあいまいな証言に終始。裁判長から「本当のことを言っているのか」と異例の注意をされたほどでした。

■自浄能力なく

 政治がカネで動かされる日歯連事件のような構図にメスを入れ、再発防止措置を取るのが国民の要請だったはずです。

 しかし自民党は、公判で迂回献金への党の関与を裏付ける関係者の証言が出ているにもかかわらず、迂回の事実を否定。自身の派閥である旧橋本派の十五億円に及ぶ使途不明金問題でもまったく自浄能力を発揮していません。揚げ句に、政党本部や政治資金団体を除外した政治団体の上限規制を出してきたのです。

 二〇〇四年の政治資金収支報告書によれば、年間五千万円を超える献金は二十一件(業界の政治団体以外も含む)にすぎず、実態に照らして何の規制にもなりません。

 また、自公案は問題となった迂回献金の禁止に対し何の手だても取っていません。これでは「甘い対応は総選挙で圧勝した緩みか、それとも変わらぬ金権体質か」(「東京」十四日付社説)と指摘されるのも当然です。

 相次ぐ政治とカネの問題の根本にあるのは、企業や団体がカネの力で政治をゆがめる買収資金=企業・団体献金です。日本共産党は企業・団体献金の全面禁止を主張するとともに、現実の政治活動のなかで一切の企業・団体献金を受けず、個人の浄財のみで活動する態度を貫いています。

 いま国民が求める国会の自浄作用発揮のためには、真相を徹底解明し、企業・団体献金の全面禁止に踏み出すことが求められています。(古荘智子)


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