2005年10月19日(水)「しんぶん赤旗」
「国際マイクロクレジット年」とは?
〈問い〉 ことしは国連が定めた「国際マイクロクレジット年」ということですが、どんな意味ですか?(北海道・一読者)
〈答え〉 国連は04年2月に開いた国連総会で、今年2005年を「国際マイクロクレジット(小規模融資)年」と決めています。
いま世界では、途上国はもちろん、先進国でも低所得者の金融排除がすすみ、基礎的な金融サービスを公的にどう保障するかが問われています。貧困層や女性に少額の融資をして、生活向上や自立を促進する「マイクロファイナンス(小規模金融)」にたいする関心も各国で高まっており、新たなとりくみが始まっています。
アメリカで低所得者層の38%、イギリスで5世帯に1世帯が銀行口座を持てず大きな社会問題となっています。ニュージーランドでは、郵貯にあたる郵便局銀行を民間に売却した結果、小口預金者は口座を維持することが困難になったため、クラーク政権は、政府全額出資で公営のキウイ(同国の国鳥にちなんだ名)銀行を郵便局のなかに復活させています。
「国際マイクロ・クレジット年」は、こうした流れの中で、すべての国々が貧困根絶のために少額融資などの金融サービスを活発化させるために設けられたものです。
具体的には、開発途上国をはじめとするすべての国で、(1)持続可能な貧困層向け金融サービスを支援する金融部門の動きを活発化させる、(2)女性をはじめとする貧困層の対策ツールとしての少額融資の役割を重視しアクセスを容易にし、自営のための零細事業を立ち上げられるようにする、ことなどをよびかけています。
世界貯蓄銀行機構と世界銀行が04年10月、ベルギーで共同開催した年次総会でも、金融サービスへのアクセスは基本的な人権だと位置付けて、金融排除をなくす新たな目標を掲げた決議が採択されています。同総会の冒頭講演で、ホルガー・ベルント総裁は、(1)株主の利益を追求するだけが銀行の唯一のモデルではない、基本的金融アクセスの欠如は金融排除に帰着する、(2)ヨーロッパの諸国の金融サービスは身近な金融機関、中でも、過疎地域にも低所得者の人々にも差別のないサービスを提供している郵便局の金融サービスが継続的に維持されることによってのみ保障されている、など強調しました。
ところが、日本はこうした流れとは反対に国の責任を放棄しようとしているのです。郵政民営化は世界の流れにも時代の流れにも逆行するものです。(喜)
〔2005・10・19(水)〕