2005年10月20日(木)「しんぶん赤旗」
首相参拝に各国痛烈
志位会見を引用
■アジアの感情無視/●米Wポスト紙
米紙ワシントン・ポストの十八日付は、「小泉の神社訪問、再びアジアを怒らせる」と題し、第二次世界大戦の戦犯を合祀(ごうし)する靖国神社への小泉首相の参拝に、中国と韓国が怒りの抗議をしたと報じました。
記事では、日本共産党の志位委員長が、小泉首相の参拝について「戦後六十年という節目の年に、自らの個人的な心情を国益―日本外交の利益の上に置く」ことを示したものと述べていることを紹介。「彼の態度は第二次世界大戦の正当化と賛美を象徴するものであり、彼の行為はアジアの人々の感情を無視するものでもある」との指摘にも触れています。
■侵略を美化する場/●マレーシア紙
マレーシアの中国語紙南洋商報十九日付は社説を掲載し、日本の小泉首相の五度目の靖国神社参拝によって、「中日関係は、政治も経済も冷却化へ向かう」と指摘しました。
社説は、「小泉首相は、靖国神社の本質や精神、参拝すれば問題になることを知って、あえて実行した」「日本共産党の志位委員長は、靖国神社は『日本の過去の侵略戦争と植民地支配を美化し宣伝する場である』と批判した」とのべています。
そして、「中国、韓国との関係が好転せず、冷たくなるのは日本が歴史問題にきちんと向き合わないからだ。こうした現状が続くのは、中国や韓国、アジアの近隣諸国との関係でも日本にとって大きな損失である」とのべています。
■軍国精神/●ロシア紙
【モスクワ=田川実】小泉総理の靖国神社参拝についてロシア紙ブレーミャ・ノボスチェイ十八日付は、「小泉の祈りの計画 軍国精神復活で日本は近隣諸国を驚かせる」の見出しで外信面トップで報じました。
同記事は「北京とソウルの怒り爆発は予想されていたのに、東京は第二次大戦で日本の侵略の犠牲となった国々の考えを再び足げにした」と批判。靖国神社が「近隣諸国と多くの日本人にとって、過去の軍国主義の象徴で、現在は攻撃的ナショナリズムの精神的中心となっている」と指摘しました。
同日付の独立新聞は「日本の首相はアジアの隣国の新たな反発を呼び起こす危険を犯した」と書き、先の大阪高裁判決が首相の靖国神社参拝を憲法違反としたことも紹介しています。
■侵略の正当化/●仏ルモンド紙
【パリ=浅田信幸】小泉首相の靖国神社参拝について、十九日付仏紙ルモンドは、侵略戦争をアジア解放戦争であったとする解釈を承認する行為だなどと報じました。
記事は「戦前の超国家主義の中心地」であった靖国神社への参拝を「日本の拡張主義的過去の無罪化」だと感じる近隣諸国への影響を、小泉首相は考えたのかと疑問を提示。中国や韓国の反応を「予想されたこと」と指摘しました。
また参拝の簡略化も「その意味は変わらない」とし、近年ますます多くの政治家が「帝国日本の侵略戦争を解放戦争だとして正当化」している現実をあげ、小泉首相の参拝は「この解釈を承認するものだ」とのべています。
■冷え切った関係の最後通告/●ベトナム紙
【ハノイ=鈴木勝比古】ベトナムの青年紙トゥオイチェ(若者の意)十九日付は「小泉首相への最後通告」と題する論評を掲載しました。小泉首相の靖国神社参拝に抗議して、デモをする日本の女性たちの写真が付けられています。
論評は「小泉首相の参拝は、日本国憲法が規定する国家と宗教の分離に違反するとする大阪高裁判決のわずか三週間後に行われた」と指摘。小泉首相が私的参拝であることを弁明していることを紹介しながら、「しかし、十月十七日は秋の例大祭の初日にあたり、靖国神社が参拝を要請していたことを銘記すべきである」と述べています。
論評は日本、中国、韓国と他の十三カ国の首脳が参加する十二月の東アジア首脳会議や北京で開催される北朝鮮問題に関する六カ国協議など「多くの重要な地域・国際会議を控えて、近隣諸国との関係修復が迫られている」と指摘。「日本はこれらの一連の討議の枠外にいることはできない。日本と中国、韓国との今日の冷え切った関係を速やかに解決する必要がある。それは小泉首相の執務机に置かれた最後通告である」と結んでいます。