2005年10月22日(土)「しんぶん赤旗」
メディアの論調に変化
「聖域・法人税」に異議
なぜ国民ばかり負担増
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「定率減税縮小なのに…/法人税減税継続?/献金選挙 強まる財界パワー」(東京新聞二十一日付)――総選挙が終わり本格化する小泉政権の来年度「税制改正」論議をめぐり、「なぜ負担増は庶民だけ?」の声が商業メディアにも広がりつつあります。
東京新聞がとりあげたのは、日本経団連が求めている研究開発・IT(情報技術)投資促進減税の継続・拡充です。経済産業省も同減税の継続を求めています。
同紙は、「政治献金への関与を始めた日本経団連の発言力アップ」などに触れつつ、「(所得税などの)定率減税が(来年度『税制改正』で)全廃されれば、個人の税負担は最大で年二十九万円増える。こうした中で、企業だけを特別扱いできるものなのか」と指摘しています。
■財界総理が許さない
「聖域・法人税。好景気にわく大企業は優遇され続け、サラリーマンには等しく大増税が待っている」。こんなナレーションが流れたのは十七日放映のテレビ朝日系番組「たけしのTVタックル」です。
一九九九年度に景気対策として導入されたのは、庶民減税(定率減税)のほか、大金持ち減税(所得税最高税率引き下げ)、大企業減税(法人税率引き下げ)でした。同番組は「小泉政権は定率減税のみを全廃し、法人税減税は見直しの対象にしていない」と指摘。「痛みを負うのは国民だけ」と強調しました。
「献金の見かえりに(大企業が)減税の恩恵をうける。これが今のやり方じゃありませんか」。日本共産党の志位和夫委員長が九月三十日の衆院予算委員会で、小泉首相を追及した場面を放映した同番組は、法人税減税が聖域なのは「財界総理(奥田碩日本経団連会長)が(見直しを)許さないからである」と指摘しました。
■法人税引き上げこそ
大企業がバブル期を上回る利益をあげ、空前の「金余り」状態にあるなか、「『回復したから増税する』というなら、むしろ法人税を上げ、所得税は下げなければならないはずだ」(『週刊ポスト』九月三十日号)、「法人増税が選択肢からあらかじめ排除されうるものではない」(池尾和人慶応大学教授、『週刊東洋経済』八月二十七日号のコラム)との論調が強まっています。