2005年10月26日(水)「しんぶん赤旗」
定率減税 07年に全廃
政府税調会長が表明
消費税率は「二ケタ」
政府税制調査会(首相の諮問機関、石弘光会長)は二十五日、総会を開き、二〇〇六年度税制「改正」に向けた本格的な論議に入りました。個人の所得税と住民税を最大二十九万円低くしている定率減税の全廃問題が大きな焦点。石会長は総会後の記者会見で、「今の段階では、景気を理由に定率減税の廃止を延ばす根拠はない」として昨年の答申どおり〇七年から廃止すべきだとして、サラリーマンをはじめ庶民への増税に踏み切る考えを表明しました。
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石会長はまた、消費税率の引き上げについて、「二ケタ(10%以上)にならざるを得ないだろう」と改めて表明。政府・与党が〇七年度に向け「消費税を含めた税体系の抜本的改革」の議論をはじめる来年秋前に、政府税調の中間答申をまとめるため、来年年明けから、本格的に消費税の規模などについて議論したいと述べました。
政府税調が議論する来年度税制「改正」の主な論点は、(1)半減が確定している定率減税の〇七年全廃(所得税は〇七年一月、個人住民税は同六月実施)(2)国・地方税財政の「三位一体改革」の一環として国から地方へ約三兆円の税源を移すことを目的とした所得税の税率構造見直し(3)日本経団連が延長を求めているIT(情報技術)投資促進減税、研究開発減税の税額控除率上乗せ措置の存廃(4)低税率の「第三のビール」増税を視野に入れた酒税率の見直し―などです。
このうち、定率減税の全廃は、政府税調が六月に打ち出したサラリーマン増税のひとつ。自民党は総選挙(九月十一日投票)で「『サラリーマン増税』を行うとの政府税調の考え方はとらない」(総選挙のマニフェスト)と公約していました。ところが、選挙が終わるや谷垣禎一財務相が「(定率減税は)整理する必要がある」(九月十三日)と全廃を宣言していました。
政府税調は十一月末をめどに答申をまとめ、小泉首相に提出。与党の税制調査会での議論を経て、小泉内閣は年末に税制「改正」大綱を最終決定します。
▼定率減税 所得税と個人住民税の税額から一定割合を差し引く減税のこと。現在は、所得税額の20%(最大二十五万円)、個人住民税額の15%(同四万円)を差し引いています。小泉内閣は二〇〇五年度税制「改正」で定率減税の半減(所得税は〇六年一月、住民税は同六月実施)を決め、さらに全廃を狙っています。定率減税は、一九九九年度税制「改正」で、景気対策の一環として所得税の最高税率の引き下げや法人税の税率引き下げとともに導入されました。