2005年10月27日(木)「しんぶん赤旗」
首相の靖国参拝
戦後国際秩序の土台否定
CS放送「各党はいま」
志位委員長が語る
日本共産党の志位和夫委員長は、二十六日放映のCS番組・朝日ニュースター「各党はいま」に出演し、首相の靖国神社参拝の問題などについて、質問に答えました。聞き手は、朝日新聞論説委員の坪井ゆづる氏。
■「考え違う」といいながら参拝
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――小泉首相の靖国参拝をどうみているか。
志位 六月に小泉首相とこの問題で予算委員会で質疑をやったのです。靖国神社の一番の問題は、その歴史観、戦争観にある。すなわち、過去の戦争を「アジア解放の戦争」「自存自衛の戦争」だと、つまり「正しい戦争」を日本はしたんだという立場にたって展示もし、宣伝もしている。
そこに参拝することは、どういう意図で参拝しようと侵略戦争の正当化にお墨付きを与えることになるんだという批判をやりました。
それにたいして、小泉さんは「靖国の考えと政府の考えは違う」、「参拝によって戦争を正当化するつもりはない」といって、自分の立場についての弁明を試みようとした。「違う」というのであれば参拝しないというのが一番合理的な解決です。「違う」といいながら参拝した。合理的な説明をつけようがない、自分の言明に照らしても道理のたたない行動をやったところが、非常に重大な点だと思います。
■アメリカでの批判の動き重要
志位 この問題で、中国、韓国にとどまらず欧米からの批判が非常にきびしい形で出ているところにいま注目してみています。
――欧米からの批判ですか。
志位 とくにアメリカの動きが重要だと思います。首相参拝という事態をうけて、アメリカの有力紙が次々と批判の論説を書きました。どの新聞の論説でも共通しているのは、遊就館という軍事博物館で、まさに侵略戦争の賛美をやっている、このことを問題にしていることです。私たちがずっと問題にしてきた靖国神社の歴史観、戦争観という問題の核心が、アメリカでも問題になっている。
米国政府の動きとして注目したのは、ブッシュ大統領が八月三十日におこなった対日戦勝六十周年の演説です。そのなかに、日本の過去の侵略主義、植民地主義についての批判があります。“日本は植民地からの解放を掲げて戦争をやったが、アジアの人々はまもなく、それがより過酷で抑圧的な(植民地支配の)バージョンに置きかえただけだと知った”と。靖国神社のいっている「アジア解放のための戦争」だという議論にたいする事実上の真っ向からの反論になっています。
さらに米国議会筋の動きとして、ハイド下院外交委員長が駐米日本大使に“今回の靖国参拝は遺憾である”という書簡を送ったことが報じられました。また、国務省のマコーマック報道官が、“軍国主義の復活ではないかという中韓でおこっている懸念の根拠を理解している”と、間接的ですけれども、アメリカ政府としての“懸念”をのべました。
■中・韓だけでなく日本と世界の問題
志位 靖国史観とは、第二次世界大戦で日本が正しかったというものですから、中国だけではない、アメリカ、イギリスも間違っていたという立場です。国連憲章の土台になっている、日独伊三国のおこなった戦争は間違っていたという立場の否定です。これは、戦後の国際秩序の土台そのものの否定になる。
これは、ただ日本と中・韓関係の問題だけではなくて、日本と世界の問題なのです。現にそうなっていることが重要な点です。
――無宗教の追悼施設にはどういう立場か。
志位 国民的合意ができた場合は、つくることはありえます。ただ、それができるまで靖国参拝はしょうがないんだと条件に使われるというのはよくない。靖国参拝はすぐやめるべきです。