2005年10月27日(木)「しんぶん赤旗」
駐留はイラク発展阻害
米軍の中からも縮小論
米経済紙
【ワシントン=鎌塚由美】ブッシュ米大統領が米軍のイラク駐留継続を表明し続ける中、米軍関係者の間でより小規模の軍の展開が議論されていると、米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(五日付)が伝えています。記事は、イラク問題で「苦渋にみちたジレンマ」に陥っているブッシュ政権の姿を示しています。
■憤りの要因
ブッシュ政権は、イラクからの米軍撤退について、明確な時期や規模を明らかにしていません。同紙は、「ブッシュ大統領は早急な撤退は反乱勢力をつけあがらせるだけだと懸念している」が、「ますます多くの米軍司令官や文民政策立案者が、それとは反対の懸念を表明している。彼らは大規模な米軍の駐留が、実際には、反乱勢力の活動を増大させ、イラクでの政治的な発展を阻害していると危ぐしている」としています。
さらに「軍事作戦にかかわる米軍指導者の一部」は、「イラクの人々の憤りの主要な要因」が、「十四万近いイラク駐留米兵」だとの認識に達しているといいます。「米国の多くの文民・軍指導者が、政治的な方策によってのみ反乱勢力を負かすことができるとの結論に達した」ことは「大きな転換だ」と指摘しています。
■一定期間で
これらの関係者は、「撤退の開始」が「現地で信頼できる政府樹立を進め、反乱勢力の勢いをいくらか鈍らせる最善の策」だと主張。「急激な撤退」ではないが、「一定期間をかけての軍の縮小が、イラクで起きている問題のいくつかを緩和させることができる」と考えているといいます。
同紙は、「米軍がイラクの問題を解決しているのか、それとも問題を作り出しているのかという意見対立は苦渋に満ちたジレンマとなり、米軍撤退の規模や時期および速度の議論に影を落としている」と指摘。「イラクおよび米国の選挙民が疑念に満ちますますいらだつなかで、なぜブッシュ政権が撤退計画を示すのに苦闘しているのかを説明するのに役立つ」とも述べています。
また記事は、現場の司令官たちが「反抗勢力が戻ってくるのを防ぐのに十分な兵士や海兵隊がいないと、ひそかに不平を述べている」と指摘。自らの窮状を「堤防の穴を一人で防ごうとするオランダの少年」の寓話(ぐうわ)に例え、「十分な兵士がいたことはない」とするある海兵隊司令官の言葉を伝えています。