2005年10月27日(木)「しんぶん赤旗」

手取り2カ月分の増税 その根拠は?


 〈問い〉 サラリーマンの「手取り二カ月分が吹き飛ぶ」大増税がねらわれているといいますが、どんな計算でそうなるのですか?(東京・一読者)

 〈答え〉 6月に出された政府税制調査会の大増税計画=「論点整理」によると、年収500万円の場合、42万円の増税になるという試算ができます。

 なぜそうなるのか。給与年収500万円の4人世帯の場合で、控除を引いて課税される所得が119万円となり、それに税率が10%ですから11・9万円になります。そこから定率減税分20%を引きますから9万5200円の所得税になります。住民税も同じように計算できて、6万4600円になります。ですから、この世帯は、所得税と住民税あわせて約16万円負担していることになります。

 これが、給与所得控除を半減し、配偶者控除や扶養控除、特定扶養控除は廃止となると、課税所得が335万円に一気に増えます。これに税率をかけて計算すると、34万円に。定率減税も廃止され、まるまる所得税としてかかってくることになります。住民税も同様に計算すると、24万円になります。所得税・住民税をあわせると58万円、いまと比べると42万円の増税になってしまいます。

 42万円の増税額を項目別にみると、次のようになります。

 ▼定率減税廃止…所得税2・38万円、住民税1・14万円の増税
 ▼給与所得控除を半減…所得税7・7万円、住民税5・3万円の増税
 ▼さらに配偶者・扶養控除の廃止…所得税14・4万円、住民税11・1万円の増税

 これに消費税増税分が負担増としてかぶさってきます。

 消費税は、年収から税金や保険料、預貯金をのぞき、家賃や授業料など消費税がかからないものを差し引いたうえで、残りに税率をかければ計算できます。政府の家計調査をもとに計算すると年収500万円だと、約13万円の負担になります。

 いま税率5%で13万円負担しているわけですから、10%になれば、消費税で13万円の負担増になります。そうすると、所得税・住民税で42万円、消費税で13万円、計55万円の増税になります。年収500万円というのは、ボーナス3カ月として計算すると1カ月の手取りは27万円程度になりますから、55万円の増税ということになれば、手取り2カ月分が消し飛んでしまうということになります。たいへんな大増税です。(垣)〔2005・10・27(木)〕


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