2005年10月28日(金)「しんぶん赤旗」
けいざい
サラリーマン増税編
給与所得控除どうなるの
Q サラリーマン増税って定率減税全廃だけなんですか。
A いいえ、定率減税全廃だけではありません。
政府税制調査会(石弘光会長)が六月にまとめた報告書「所得課税に関する論点整理」は、定率減税の全廃とともに、給与所得控除の縮小や配偶者控除、扶養控除の廃止・縮小の方向を盛り込みました。
総選挙中に小泉首相も「控除見直しも当然やります」と明言しています。給与所得控除や配偶者控除、扶養控除の廃止・縮小は、サラリーマンをはじめ、自営業者や農家、年金生活者など幅広い国民に増税の痛みを押しつけることになります。
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■生計費に課税
Q 給与所得控除ってなんですか。
A 所得税は、収入から必要経費を差し引くことで、課税対象になる金額(所得金額)を算出します。必要経費を算出するのが困難なサラリーマンには、概算控除として給与年収額に応じて給与所得控除が設けられてきました。会社員の収入に応じて一定割合(表)の控除額を算出し、これを年収から差し引いた上で給与所得を算出します。
そもそも、サラリーマン(給与所得者)は労働力を売ることのみによって収入をえています。
病気やけがなどの不測の事態などで、働くことができなくなれば、たちまち収入を得ることができなくなります。給与所得控除は、こうした給与所得者の立場の弱さを考慮し、税負担を軽減させるために設けられた制度ともいえます。
これを縮小するということは、「サラリーマンの生計費に課税するということになる」との指摘もあります。
Q どのくらいの増税になるんですか。
A 政府税調は縮小規模を明記していませんが、仮に半減するとして、その増税額を試算してみます。年収五百万円のサラリーマン世帯(妻は専業主婦、子ども二人)の場合、現行では、百五十四万円の給与所得控除が、七十七万円に半減。その結果、この影響だけでも、所得税で七万七千円、住民税では五万三千円、合計十三万円の増税になる計算です。
■消費税と同時も
Q いつから増税されるんですか。
A 政府税調の石会長は「(所得税の見直しは)早急に来年からやるというものではない」(六月十日)といっています。
ただ、石氏は十月二十五日の記者会見で、「消費税との絡み、他の個別消費税との絡み、さまざまな他の税制全体の見直しと歩をあわせて、所得税もいずれ議論しなければいけない」と明言。議論に限れば、消費税と「同時でもいい」と述べています。
政府・与党が、二〇〇七年度をめどに実現するとしている「税体系の抜本的改革」の中で議論されることになりそうです。