2005年11月1日(火)「しんぶん赤旗」
プリオン調査会が答申案
矛盾の2論を併記
米国産牛肉
内閣府食品安全委員会のプリオン専門調査会(座長・吉川泰弘東大大学院教授)は三十一日、農水、厚生労働両省の諮問をうけていた米国・カナダ産牛肉のBSE(牛海綿状脳症)安全評価(答申案)の結論をまとめました。
答申案は十一月上旬に開かれる食品安全委員会に報告され、四週間にわたる一般からの意見公募を経て、早ければ十二月上旬にも政府に答申。これを受け、政府は年内の輸入再開をねらっています。
異論・修正意見が続出していた「結論」で、データ不足の上、生後二十カ月以下の牛などの輸入条件順守という仮定を前提にしては「リスクを科学的に評価することは困難」とする一方、生後二十カ月以下などの輸入条件順守を仮定した場合、日本との「リスクの差は非常に小さい」と、矛盾した二つの答えを併記しました。
また、輸入再開の判断と輸入条件(生後二十カ月以下、危険部位の除去など)の順守確認は、農水、厚生労働両省の責任と強調。専門調査会は、輸入再開する場合、輸入条件の「実効性とその順守の検証結果の報告をうける義務があり」、行政は「国民に報告する義務がある」としました。
「結論」と一体のものとして「付帯事項」をつけ、(1)と畜場の監視の実態が不明で安全担保の実効性に疑問が残る(2)健康牛を含めたBSE検査の継続が必要(3)危険部位の利用禁止と飼料への利用禁止――の三点を米国・カナダに求めました。
会合後会見した吉川座長は「(米国の)データ不足に加え、(輸出条件が守られるとの)仮説の上では科学的な回答は難しい」と指摘。「条件が守られない場合は(リスクの差は小さいという)結論が崩れる」と語りました。