2005年11月1日(火)「しんぶん赤旗」
主張
内閣改造
国民の願いとかけ離れた政治
第三次小泉改造内閣が発足しました。自民党の新役員も決め、小泉首相は、任期の最後の一年の布陣を固めました。
マスメディアは、“小泉後継”が焦点であるかのように描いています。しかし、問題は、政治の中身です。首相の靖国神社参拝を強硬に主張してきた安倍晋三氏の官房長官起用は、侵略戦争への反省も、アジア諸国との友好も二の次にする態度と言われても仕方のないものです。
小泉政権は、大増税、日米軍事同盟と基地の強化、憲法改悪に向けて動きだしています。私たちは、平和と国民のくらしを守るために、小泉政治と正面からたたかいます。
■増税、基地強化、改憲
小泉政権は、小選挙区制マジックで得票率をはるかに上回る議席を獲得し、特別国会で、郵政民営化法を成立させました。しかし、審議を通じて浮き彫りになったのは、日本の財界・銀行業界やアメリカの要求にそった「改革」だということです。
増税問題は、小泉「改革」の正体を、より明確に表すものとなっています。二〇〇七年度をめどに消費税増税を実現することや、同時並行で所得税の定率減税の廃止、配偶者控除・扶養控除の廃止、給与所得控除の縮小などを狙っています。空前の庶民大増税です。
小泉首相も自民党も、総選挙では、「サラリーマン増税」を「許さない」と宣伝しました。国会で「公約違反だ」と追及され、小泉首相は、「すべての所得税納税者を対象とするものだから(定率減税廃止は)サラリーマン増税とは異なる」と答弁しています。定率減税の対象がサラリーマンに限定されないことを百も承知して宣伝したのに、選挙が終わったとたん、自営業者なども含むから「サラリーマン増税でない」というのは詭弁(きべん)です。
日本共産党の志位和夫委員長は、代表質問(九月二十八日)で、定率減税と同時に実施した大企業・大金持ち減税だけは存続させるのはなぜかと質問しました。「国際化、構造変化への対応で景気対策とは異なる」というのが小泉首相の答え。大金持ち・大企業への減税は「構造改革」だから維持するが、定率減税は景気対策だからやめる――小泉「改革」の方向性があらわれています。
小泉政権は、米ブッシュ政権いいなりに、イラク侵略戦争を支持し、自衛隊をイラクに派兵してきました。日米両政府とも、それだけでは満足しません。日米安全保障協議委員会(十月二十九日)で合意した在日米軍再編の中間報告は、米軍と自衛隊との軍事一体化と地球規模での協力、在日米軍基地の機能強化を進める内容になっています。ブッシュ米政権の先制攻撃戦略に日本をさらに深く組み込み、国民に基地被害などの痛みを強いるものです。
自民党は、「自衛軍」を保持して、海外で武力行使もできるように、九条を根本的に改廃する憲法改悪案を発表しています。日米軍事同盟強化と、「海外で戦争する国」にする改憲策動は同じ根から出ています。
■黙ってはいない
自民党内では、小泉首相にたいしてものを言えなくなっています。しかし、国民は黙ってはいません。
公約違反の定率減税廃止、庶民大増税の方針に国民の怒りが高まっています。住民を無視した一方的な基地強化に反対する運動が、自治体ぐるみで展開され、憲法九条守れの声が全国に響いています。国会での「与党多数」にひるまず、その虚構性を突くたたかいが広がっています。