2005年11月1日(火)「しんぶん赤旗」

第3次小泉改造内閣

増税・基地強化・憲法改悪…

自民・内閣で「改革競争」


 「小泉改革の総仕上げ」――来年九月に自民党総裁の任期が切れる小泉純一郎首相がおこなった内閣改造は、これまでの小泉「改革」のレールを“ポスト小泉”に競わせながら強力に推進し、継続させる布陣となりました。

■財界・大企業 米側の要求

 首相が「改革」として掲げるメニューは、「行財政改革」、「社会保障改革」、「財政再建」など、国民に痛みを伴うものが目白押しです。さらに、「財政再建」を口実とした消費税増税やサラリーマン増税などの庶民大増税、米軍再編・基地強化問題、憲法改悪なども待ちうけています。

 いずれも財界・大企業やアメリカ側が求める課題で、暮らしと平和をまもってほしいという国民の願いとは裏腹のものばかりです。

 この課題を、谷垣禎一、麻生太郎、安倍晋三の三氏らを主要閣僚に据え、“成果”を競わせながらすすめようという狙いです。

 郵政民営化を首相と二人三脚で推進してきた竹中平蔵郵政民営化担当相を、地方切り捨ての「三位一体改革」や公務員の人件費削減を担当する総務相に任命したのも、小泉「改革」路線をすすめる決意が垣間見えます。

 医療改悪が大問題となっている社会保障分野では、川崎二郎厚生労働相が就任記者会見で、首相から「きびしいぞ」と尻をたたかれたことを明らかにしています。これまで首相がトップダウンですすめてきた「改革」をさらに「リーダーシップ」を発揮してすすめやすい布陣に改造したといえます。

■強まる改憲 「タカ派」政治

 安倍晋三氏が内閣の要である官房長官として入閣したことには、自民党政治の改憲タカ派ぶりの強まりがあらわれました。安倍氏は党内きっての靖国神社参拝推進派。日本の侵略戦争を「歴史が判断をくだす」と美化し、就任記者会見の場でも、首相と同様に国民の一人として靖国神社に参拝してきたとして、「今までの気持ちをこのまま持ちつづけたい」と参拝を継続する意向を示唆しました。官房長官は調整役として外交にも影響を与えるだけに、アジア外交面への波紋も予想されます。

 外相に就任した麻生氏も、改憲右翼団体の日本会議と連携する同国会議員懇談会の前会長。政調会長時代に「創氏改名は、朝鮮人の人たちが『名字をくれ』と言ったのが始まり」とのべ、内外から大きな批判を浴びた人物です。

 侵略戦争を反省し、アジア外交のゆきづまりを打開するという課題からいえば、最悪の布陣といえます。

■民主まきこみ「三つどもえ」

 総選挙後、小泉自公政権は、数の力におごり、暴走をはじめていますが、今度の内閣改造、党役員人事でも、その危険がいっそう強まりました。

 同日、自民党の国対委員長から政調会長に就任した中川秀直氏は、「与党として改革を提案し、政府・与党が改革競争をする立場にたつべきだ」とのべました。

 首相の「改革」メニューを政府側が強力にすすめないなら「党の方から加速する」とのべ、場合によっては議員立法も辞さないとまでのべました。中川氏があげたのは、在日米軍再編などの基地問題や、増税問題。さらに年金問題や公務員「改革」、憲法問題では、「民主党もまきこんだ政府・与党・野党三つどもえの改革競争だ。積極的な対応をしていきたい」とのべました。

 小泉「改革」の総仕上げとして、国民の暮らしと平和に全面的に衝突する路線を、主要閣僚に競わせ、さらに自民党と内閣で競い合い、民主党までまきこんで「改革競争」をやろうというものです。残り十カ月の内閣ですが、小泉路線の暴走政治の強まりを印象づける内閣改造となりました。(小林俊哉)


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