2005年11月1日(火)「しんぶん赤旗」
けいざい??
サラリーマン増税編
所得控除の「見直し」って
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Q サラリーマン増税の中に、「所得控除の見直し」という言葉がよく出てきます。そもそも控除って何ですか。
A 所得税は、年間の収入から、必要経費(給与所得控除)や世帯の状況を配慮した金額を差し引くことで、課税の対象になる金額を算出していきます。
■世帯状況に配慮
この算出過程の中で、必要経費を差し引いた所得から、世帯の状況を反映して差し引かれていく金額が、所得控除といわれているものです。
所得控除の中には、人的控除として、納税者一人一人がもつ基礎控除や配偶者の有無による配偶者控除、扶養する家族の有無による扶養控除などがあります。さらに、扶養する家族の状況に応じた特定扶養控除(子どもが十六歳から二十二歳)や老人扶養控除などがあります。
これらは、それぞれ決められた一定額を、あらかじめ課税対象となる金額から差し引いておくことによって、世帯の最低限の生活費には税をかけないという原則を満たそうとするものです。
さらに、納税者とその家族の特定の支出に基づいたものとして、医療費控除や社会保険料控除などがあります。
■配偶者と扶養が
Q サラリーマン増税で狙われているものは何ですか?
A 政府税制調査会が六月にまとめた報告書「所得課税に関する論点整理」は、配偶者控除と扶養控除の廃止・縮小の方向を盛り込みました。
両控除が廃止されると仮定すれば、年収五百万円の四人家族(妻は専業主婦、子ども二人、うち一人は十六歳から二十二歳)で、所得税は年十三万九千円の増税になります。住民税の増税額年十一万六千円を合わせると年二十五万五千円の増税になります。
■年42万円の増税
定率減税全廃、給与所得控除半減といったサラリーマン増税の他の項目と合わせると、年四十二万円の増税です。
政府税調のある委員は五月の会合で、「専業主婦で何もしないのが多い。子どもも産まないで」「変な生命力のない人がたくさん生じていて、お金をもってぶらぶらしている」などと暴言。専業主婦を攻撃しました。報告書が、配偶者控除の縮小・廃止を盛り込んだ背景には、こうした議論もありました。
Q 配偶者控除や扶養控除を廃止する代わりに、子育て世帯への「税額控除」や「子育て手当」を支給する案があると聞きましたが。
A 政府税調が子育て世帯への「税額控除」を提案し、民主党が「子育て手当」を主張していますが、いずれも、配偶者控除、扶養控除廃止の方針には変わりありません。
これらの考え方では、子どものいない世帯や、子どもの人数が少ない世帯、子どもの年齢が高くて「手当」の対象にならない世帯では、かえって負担増になります。
また、現在、子どもの年齢が低い世帯も、当面は負担減となりますが、生涯を通じて見れば、負担増になる場合もあります。