2005年11月1日(火)「しんぶん赤旗」
開門求め仮処分申請
佐賀地裁 諫早湾干拓で漁民
国営諫早湾干拓事業により漁業被害を受けている有明海沿岸四県漁民十七人が十月三十一日、諫早湾を閉め切っている潮受け堤防排水門の開門(海水導入)と開門調査、その結果が出るまでの事業凍結を求める仮処分を佐賀地裁に申し立てました。
申請者の一人で、タイラギ(二枚貝)漁などを営む佐賀県太良町の平方宣清さん(52)は「司法の力で国を動かし、笑って生活できる豊かな海を戻してほしい」と訴えました。
馬奈木昭雄弁護団長は、「具体的に再生をめざすとりくみが着手された。いよいよ開門を実行するときが来た。あとは再生の道筋を一気に開かせる」と語りました。
申請した十七人は、同地裁で審理中の「よみがえれ有明訴訟」原告約二千人を代表する形でおこなったもの。漁民らは、二〇〇二年の提訴以後の裁判・公害等調整委員会のたたかいで得られた到達点を踏まえ、有明海再生に不可欠な開門(海水導入)を正面から求める裁判に踏み出しました。
佐賀地裁は工事を差し止める仮処分を決定しましたが、福岡高裁は開門調査を「漁民に対する農水省の責務」と指摘しながら差し止めを取り消し、最高裁が九月末に高裁決定を追認。公害等調整委員会も「事業が影響を及ぼした可能性を否定しない」との談話を発表しながら、因果関係を認めなかったため、漁民・市民・研究者は、激しい怒りで行動に立ち上がっています。