2005年11月2日(水)「しんぶん赤旗」
日本共産党国会議員団総会での志位委員長のあいさつ(大要)
日本共産党の志位和夫委員長が一日の党国会議員団総会でおこなったあいさつ(大要)は次のとおりです。
みなさん、ご苦労さまでした。閉会にあたってごあいさつを申し上げます。
この国会では、一方で、総選挙で多数の議席をえた小泉・自公政権が、数の力を背景にして、暮らしを壊し、平和を壊す暴走をはじめる、他方で、議席を減らした民主党が、「改革競争」の名で暴走を競い合うという、新しい政治局面が生まれました。
そういう状況のもとで、日本共産党議員団は、国民の立場にたって、間違った政治の暴走に正面から立ちむかう、「たしかな野党」としての重要な役割をはたしました。とくに、四つの点についてのべたいと思います。
■郵政民営化反対 正論貫いた
一つは、郵政民営化法案反対の正論を、最後までつらぬいたということです。
この国会では、郵政法案をめぐって、総選挙の結果に目がくらんだ情けない状況が生まれました。民主党は、郵貯・簡保つぶしを競い合う「対案」を出して、民営化法案のスピード強行に手を貸す態度をとりました。「造反派」といわれた政治家の多くも、「節」をまげる状況が次々と生まれました。
そのもとで、わが党は、核心をつく論戦をおこないました。まず議論の前提の問題として、「民営化は国民の圧倒的多数に支持された」という首相の言い分が、“小選挙区制マジック”にもとづく虚構であることを事実にそくして明らかにしました。
そして、民営化推進のために日米の関係者が毎週会合を開いていた事実をつきつけるなど、ことの本質が、日米財界の要求にしたがって、庶民への金融サービスをきりすてることにあることを、つっこんで糾明しました。
前国会、総選挙、今国会と三つの舞台をつうじて、わが党が展開した反対の論陣は、日米財界の野望に切り込む、わが党ならではの先駆的で一貫したものでした。今後、地域から身近な金融窓口をまもる共同したたたかいが求められます。大きな展望としては、公的金融の再建という問題があります。そのときに、私たちの論戦は必ず生きて力を発揮することになると確信するものです。(拍手)
■庶民大増税反対 メディアに変化
二つ目は、庶民大増税反対の論陣です。私たちは、自民党の公約違反を追及するとともに、「庶民には増税、大企業には減税」という道理のなさを告発しました。重要なことは、それがメディアの論調にも一定の変化をつくっていることです。
東京新聞では、「定率減税縮小なのに…/法人税減税継続?/献金選挙 強まる財界パワー」と大きな見出しで特集をしました。小池(晃政策委員長)さんが出演したテレビ朝日の番組では、わが党の質問のハイライトを放映し、ナレーションが「聖域・法人税。好景気にわく大企業は優遇されつづけ、サラリーマンには等しく大増税が待っている」というと、日本経団連の奥田会長の写真が大きく映し出される。財界献金で減税を「買う」という問題の構図がよくわかるシーンも流されました。
これまでは、大企業への負担問題は、まったくのタブーあつかいでした。私たちは、この問題を、一貫して主張してきましたが、十年ぐらい前はテレビ討論などで持ち出しても、「共産党がとんでもないことを言い出した」という雰囲気がつくられるという状況もありました。ところがそのタブーが崩れはじめ、ここに見直しのメスを入れることが、当たり前の議論になりつつある。これは重要な変化であります。
■障害者「自立支援」 怒りの声を代弁
三つ目は、障害者「自立」支援法案反対の論陣です。私たちは、定率負担が何をもたらすかについて、障害者の実態と怒りの声を代弁した論戦を展開しました。
共同作業所などの通所施設では、工賃を上回る利用者負担がおしつけられ、入所施設では手元には月二万五千円しか残らない、これで生活ができるか、このどこが自立支援か――わが党の追及に、政府はまともな答弁ができませんでした。この論戦は、一つの痛切な問題をつうじて、小泉「改革」の正体を浮き彫りにする論戦にもなりました。
法案は強行されましたが、障害者のみなさんと一体になったたたかいは、今後に生きてきます。とくに今後、障害者のみなさんの生活と社会参加に必要なサービスを保障させるたたかいに、新たな決意でとりくむことを、確認したいと思います。(拍手)
■アスベスト問題 救済で前進
最後に、国民のさまざまな要求にこたえ、命と安全をまもるとりくみとして、アスベスト問題での衆参議員団の連携したとりくみについて、のべておきたいと思います。
今国会で、わが党議員団は、衆議院では、総務、内閣、厚生労働、経済産業、参議院では環境、厚生労働など、関係委員会でいっせいに、この問題をとりあげました。このなかで、労災認定の手続きの制度改善など、被害者への救済で一定の前進をかちとることができました。実効ある救済のための法整備をすみやかにおこなうことを、引き続き強くもとめていきます。
この問題は、わが党が、一九七〇年代から先駆的にとりあげてきた問題ですが、「国民の苦難あるところ共産党あり」の精神で、国政を一歩動かす仕事をおこなったことは特筆すべきことでした。
「たしかな野党」をかかげて総選挙をたたかい、その立場からのぞんだ初めての国会で、国民の立場にたった「たしかな論戦」で重要な役割をはたしたことに確信をもって、つぎのたたかいにのぞみたいと思います。
■三つの直面する課題 共同の新しい条件
今後のたたかいの問題ですが、四中総報告では、庶民大増税許さない、憲法をまもりぬく、「日米同盟」の侵略的変質に反対するという、直面する三つの課題でのたたかいをよびかけました。
私は、その後の情勢の展開をみても、そのどれもが、いよいよ熱い国政の大問題になり、どの問題でもわが党と国民との共同の新しい条件が広がっていると思います。
庶民大増税問題で、わが党の主張が、世論を動かしはじめていることはさきにのべました。憲法問題でも、「九条の会」の発展をはじめ、立場の違いをこえた共同がすすんでいます。それにくわえて、「日米同盟」の侵略的変質に反対するたたかいでも、新しい共同のたたかいが前進する条件が、大いに広がっていることに目をむけることが、大切であります。
■「日米同盟」の侵略的変質 全貌明らかに
先日、日米安全保障協議委員会(2プラス2)の「中間報告」が出されました。これは「中間報告」と銘打っていますが、日米政府の狙いのほぼ全貌(ぜんぼう)が明らかになった報告として、たいへん重大な内容のものです。
いま「日米同盟の変革と再編」の名でおこなわれているのは、在日米軍基地の強化だけではありません。「日米同盟」の地球的規模への拡大、日米の軍事的一体化、在日米軍基地の強化が、セットですすめられていることが重大であります。
――アメリカはいま、「ならず者国家」「テロ」「大量破壊兵器」に対抗するという名目での先制攻撃戦略をおしすすめ、それに即応した軍事態勢の再編を地球的規模ですすめています。この計画のなかで、「日米同盟」は最大の要と位置づけられ、その役割が地球的規模に拡大されようとしています。
――米軍と自衛隊が、基地使用でも、指揮系統でも、訓練でも、運用でも、一体的に活動し、一体になって世界各地の紛争に介入する態勢づくりがすすめられようとしています。これは憲法改悪と直結する動きにほかなりません。
――この動きと連動して、在日米軍基地強化の動きがおこっています。それは全国各地で基地問題での矛盾を噴出させ、沖縄県、神奈川県の座間市や相模原市、横須賀市、山口県の岩国市などで、自治体ぐるみの反対の声が起こっています。立場の違いをこえた共同を発展させる新たな条件が広がっています。
自衛隊の海外派兵、憲法改悪、米軍基地強化――平和を脅かす矛盾の集中点となっている問題は、すべて「日米同盟」とその侵略的変質という根にぶつかります。このもとで日米安保条約廃棄という国政改革の大目標をもち、この立場から平和をまもりぬくたたかいを確固としてすすめている日本共産党の存在と役割が、たいへん大きくなっていることをしっかりと胸にきざんで、おおいに奮闘しようではありませんか。
■党大会にむけ 国民の利益をまもる党を強く大きく
昨日発足した第三次小泉改造内閣の顔ぶれをみますと、後継総理という“ニンジン”を鼻先にぶらさげて、庶民大増税、憲法改悪などを競いあわせる布陣になっています。また、靖国参拝が国策として固定されるのではないかという危惧(きぐ)をよびおこす布陣となっていることも重大であります。
私たちは、この内閣に正面から対決して、暮らしの問題でも、平和の問題でも、国民の利益をまもるたたかいをおおいに発展させるとともに、党を強く大きくしていくとりくみに力をそそぎたいと思います。
来年一月の党大会にむけて、国会議員団が、各分野での国民運動の発展のために力をつくすとともに、「大運動」を成功させ党勢拡大の大きな前進の波をつくるうえでも先頭にたって奮闘することをよびかけて、ごあいさつとします。(拍手)