2005年11月2日(水)「しんぶん赤旗」
土地強制収用認めるな
東京 高尾山トンネル反対で提訴
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圏央道(首都圏中央連絡自動車道)トンネルを建設すれば、高尾山(東京都八王子市)の貴重な自然が破壊されるとして、自然保護七団体と八王子市民ら二百六十五人が一日、トンネル建設にともなう土地強制収用の事業認定を行わないよう、北側一雄国土交通相に求めて、東京地裁に提訴しました。
住民らは、高尾山を貫通するトンネルの建設で地下水脈が分断され、自動車の排出ガスによる大気汚染、騒音、振動で、貴重な自然や周辺住民の生活が破壊されると主張しています。
原告らは東京地裁で記者会見し、「無駄な公共事業のための強制収用は許せない」と批判。吉山寛原告団長は「高尾山は、奈良時代から守られてきた大事な山だ。トンネルで破壊されては、先祖にも未来の国民にも申し訳ない」とのべました。
高尾山は千数百種の植物をはじめ、多様な動植物が生息。年間二百五十万人が訪れる「首都圏のオアシス」として知られています。
圏央道(総延長約三百キロメートル)は東京都心から約五十キロ圏を結ぶ環状道路で、開通した区間は約三十キロにすぎません。国土交通省は九月末、高尾山を含む区間の事業認定を申請。今月十七日には公聴会を開く予定です。
高尾山を圏央道建設から守る訴訟は、トンネル建設の差し止めを求める民事訴訟、高尾山北側地区で事業認定と収用裁決の取り消しを求める行政訴訟に続くものです。