2005年11月9日(水)「しんぶん赤旗」
大企業への減税とは?
〈問い〉 庶民には増税するが、大企業へは減税しており、それに手をつけようとしていないといいますが、大企業にはどんな減税をしているのですか?(東京・一読者)
〈答え〉 法人税率は86年度までは43・3%でしたが5回にわたって徐々に下げられ、99年度にいまの30%までに下げられました。
国税庁が公表した99年度〜02年度の4年間のデータで、税率引き下げによって大企業がどれだけ減税になっているか計算してみると、86年度の税率と比べれば約3兆円の減税になっています。
減税は税率だけではありません。02年度から連結納税制度が導入され、新たに減税されています。連結納税制度は、1社1社申告するのではなくグループ内の企業がまとめて申告する、つまりグループ企業の所得を合算して納税できるようにしました。
そうすると、いままでは黒字企業が税金を納めていましたが、グループ内に赤字企業と黒字企業があれば、赤字と黒字を通算しますから黒字が減り、グループ全体では減税になってしまいます。
日本共産党の佐々木憲昭衆院議員が、今年4月に、実際にどのくらい減税になっているか質問し、財務省が数字を公表しました。それによれば、02年度だけで2689億円、03年度は3410億円、04年度は3196億円の減税になっています。
03年度からもう一つ減税がはじまっています。研究開発減税です。研究費の10〜12%に相当する額を法人税から税額控除するという減税です。ほかにIT機器を導入した場合に減税するIT投資減税というものもあります。まだ実績が公表されていませんが、この二つをあわせて毎年1兆円以上の減税になると見込まれています。
こういったものをうけて、個別の大企業でどれだけ減税になっているのかを計算すると、トヨタ1社だけで2144億円、東京電力631億円、キヤノンで815億円、武田薬品工業で636億円、関西電力で515億円もの減税になっています。上位10社の合計減税額だけで約7000億円にものぼります。
自民・公明の政府は、こういう減税には手をつけようとしていません。いま、大企業は空前の利益をあげています。これに相応の負担を求めることは当然のことではないでしょうか。(亮)
〔2005・11・9(水)〕