2005年11月10日(木)「しんぶん赤旗」

食料自給率 早急に50%に引き上げは可能?


 〈問い〉 日本共産党は「食料自給率を早急に50%に引き上げます」といっていますが、消費者は国内産より安い輸入品を買います。こういうなかで早急に50%に引き上げることは可能でしょうか?(北海道・一読者)

 〈答え〉 わが国の食料自給率は、数年前から40%(カロリーベース)に低迷し、人口1億2600万のうち7600万人分もの食料が外国だのみです。食料不足が予想される21世紀に国民が安心できる状態とは言えません。

 農水省が昨年2月公表した「食料自給率目標に関する意識・意向調査結果」では、消費者の90%が、将来の食料供給について「不安を感じる」と回答し、85%が食料自給率は「大幅に引き上げるべき」と答えています。総理府(現内閣府)が00年に実施した調査でも、国民の84・2%が「外国産より高くても(食料は)国内で作るほうがよい」と回答し、「外国産の方が安い食料は輸入する方がよい」は10・5%にすぎません。

 これらは、「安ければ外国産でもいい」と消費者が単純に思っていないことを示しています。もちろん、消費者が外国産とわかっていても、安い農産物に買わざるを得ないのも確かで、家計収入が停滞する最近ではその傾向が強まっています。

 他方、朝市や直売所がにぎわい、地産地消の取り組みが各地で広がっています。国産小麦を使用したパンなどの人気も高まっています。輸入野菜から残留農薬が検出されたこともあって、安全な国内産を購入したいという願いが強まっていることもあります。

 いま大事なのは、食料自給率の向上を国政の柱に据えることです。食料自給率の向上には生産・消費の両面が求められますが、国政が力を入れるべきはやはり国内農業生産の回復です。現状は、低価格の外国農産物のため、多くの作物で価格暴落し、大多数の農家経営が成り立たなくされています。昨年の米価が史上最安値となり、農家の1時間の収入が483円と高校生のバイト代を下回ったのは、その典型です。

 こうした農家の経営を改善しなければ、「食料は国内産で」という願いの実現は不可能です。国の責任で価格保障・安定対策を講ずることがまず必要です。

 日本は、温暖多雨な自然条件、世界第2の経済力、安全な国内産を求める多くの消費者など農業を多面的に発展させる条件は十分あります。それらをフルに生かす政治が実現するならば自給率50%の達成は可能だと確信しています。ここ数年、麦や大豆に一定の助成金が出されたことで生産がわずかながら上向いたことは、その可能性を示すものです。(橋)

 〔2005・11・10(木)〕


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