2005年11月12日(土)「しんぶん赤旗」

「金持ち」への減税とは?


 〈問い〉 一般庶民は大増税なのに「金持ち」は減税になっているっていうのは本当ですか?(大阪・一読者)

 〈答え〉 高額所得者や大資産家、いわゆる「金持ち」への減税は、この間、どんどんすすみました。

 所得税と住民税の最高税率は、83年までは所得税75%、住民税18%、あわせて93%でした。課税所得1億円の場合の税額は、7千751万円でした。いまやそれがあわせて50%にまで下がり、課税所得1億円の場合、4千720万円しか税金がかからなくなっています。83年比で3千万円もの減税です。

 加えて、株式配当への減税があります。かつては株式配当は他の所得と合計し総合課税されていました。高額所得者では最高税率となりますので、たとえば98年時に配当が1億円あった場合、5千万円以上の税金を払っていました。ところが、03年から、株式配当はほかの所得と分けて(分離課税)、所得税・住民税あわせて20%払えばいい制度になりました。しかも5年間の臨時措置として10%とされました。ですから1億円の配当があれば1千万円払えばよくなりました。分離課税で10%というのは大変な優遇で、庶民の銀行の預貯金にたいしては所得税・住民税あわせて20%であるのと比べて、きわめて不公平な制度です。

 株式を売った場合の譲渡所得についても、分離課税で26%という税率でしたが、いまは10%です。ですから1億円の譲渡益があった場合、かつては2千600万円の税金だったのに、いまは1千万円です。

 この結果、たとえば、トヨタの豊田章一郎名誉会長の場合、同社の有価証券報告書によると、1千314万株保有なので昨年度の配当(1株当たり65円)をかけると8億円余の配当となり、3億円以上の減税になる計算です。京セラの創業者の稲盛和夫氏の場合は、同じく680万株保有なので昨年度の配当(1株80円)をかけると5・4億円の配当で、彼も3億円近い減税になったと思われます。

 また、サラ金大手の有価証券報告書で調べると、4社の創業者1族12人だけで63億円の配当をうけており、これだけで20億円もの減税です。昨年と今年の有価証券報告書と比べると、サラ金創業者一族の持ち株が減っていて、株の譲渡所得があり、これは推計値ですが、最大で3百億円程度の減税になったと考えられます。(垣)

 〔2005・11・12(土)〕


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