2005年11月16日(水)「しんぶん赤旗」
アスベスト関連 労災申請が増加
良性石綿胸水 びまん性胸膜肥厚
小池議員に厚労省回答
アスベストとの関連が明らかな疾病として、厚生労働省が二〇〇三年九月から新たな労災認定病に指定した「良性石綿胸水」や「びまん性胸膜肥厚」の労災申請が増加していることが十五日までにわかりました。日本共産党の小池晃参院議員の資料要求に、同省が回答し初めて明らかになりました。
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厚生労働省補償課によると、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚は、九都県で二十三件(二十一人)の労災申請がありました。二〇〇三年度が計九件、〇四年度は十二件と三件増加。このうち労災認定されたのは十件で、現在も審査処理段階が八件。この病名で労災が認められなかったのは五件でした。
このふたつの病気は、治療が必要な肺機能障害を引き起こし、中皮腫などの発症にもつながる重大な病気。しかし、まだ広く知られていないため労災申請そのものの数も少なく、政府が検討中のアスベスト健康被害救済新法でも救済対象と明示されていません。
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良性石綿胸水からびまん性胸膜肥厚に悪化したり、中皮腫を発症する場合も。良性石綿胸水の約半数は、呼吸困難などの自覚症状がある一方、自覚症状がなくても石綿胸水になっていることもあります。二つの病気の労災認定は(1)確定診断が困難な場合が多い(2)個々の障害の程度がさまざま――ということなどから「具体的な診断基準がない」(同課)状態。厚生労働省の担当部門と専門医の協議で個々のケースの診断と認定をおこなうことになっています。
アスベスト作業にあたった労働者、家族と製造工場周辺の住民にたいして、中皮腫・肺がんだけでなく、これらの病気の早期発見や定期的な健診・補償の体制をとることが急務になっています。