2005年11月16日(水)「しんぶん赤旗」

消防士に組合がないのは?


 〈問い〉 消防士は一線で命がけでがんばっています。しかし、消防士には組合がありません。日本共産党は消防士の組合やスト権、権利を守ることをどう考えますか?(東京・一読者)

 〈答え〉 日本の消防士に組合がないのは、政府が、戦前消防が警察活動の一部であったことを理由に「消防と警察は同じ」との考え方に今でも固執しているからです。

 憲法28条は労働者の団結権を認めていますが、1950年に制定された地方公務員法(第52条5項)では警察職員とともに消防職員の団結権を禁止しています。この規定は「消防と警察は同じ」という戦前の考え方を踏襲したものです。

 日本政府は、65年にILO(国際労働機関)の第87号条約、79年に国際人権規約(A規約)、(B規約)という国際的な人権条約、規約を批准しています。その際も、これらの条約等に軍隊と警察については国内法で権利制限ができる旨の規定があることを逆手にとって、消防職員を警察職員の構成員と見なし、警察職員に対する権利制限を消防職員にも準用しています。消防職員に団結権が認められていないのはこのためです。

 ILOは日本政府の立場を理解していた時期もありましたが、「消防職員は警察に準じる」とした日本政府は条約違反をしているとの日本の労働組合からの提訴を受けるなかで、その姿勢を変え、73年以降は消防活動を団結権から除外することは正当化できないとの立場に立つようになり、日本政府に対して消防職員に団結権を付与するよう求めるようになりました。

 こうした国際世論や「消防職員に団結権を付与せよ」という国内での声が強まる中で、当時の自治省と自治労(全日本自治団体労働組合)との協議で、95年に、(1)地方公務員法は改正しない、(2)「消防職員委員会」を設置することを軸とする合意がなされ、同年の消防組織法の改正で「消防職員委員会」が設置されました。

 日本共産党は、この法改正について、消防職員の声を消防行政に反映する点では「消防職員委員会」の設置は一歩前進と評価しましたが、団結権の付与の問題はなお課題が残されているとして、地公法を改正して消防職員に団結権を認めるよう求めました。(杉)

 〔2005・11・16(水)〕


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