2005年11月17日(木)「しんぶん赤旗」
所得控除方式は金持ち優遇?
〈問い〉 民主党は「扶養控除など所得控除方式は金持ち優遇」だとして、控除の廃止をかかげていますが、金持ち優遇なのですか?(東京・一読者)
〈答え〉 昨年の参院選のときに出された民主党の政策集「私たちのめざす社会」では、「高所得者に有利な『控除主義』を改め、必要な人に対し確実な支援が可能となる『給付主義』へと転換します。このため、扶養控除や配偶者控除、配偶者特別控除等の人的控除を見直」すといっています。ここには、廃止だとは書いていませんが、今年の総選挙のマニフェストには、「配偶者控除・配偶者特別控除の廃止」と明記しています。
このように、民主党の税制政策は、内容的には政府税調と変わらないのですが、「控除廃止」の理由にあげているのが、「高所得者に有利だから」というわけです。
その理屈は、たとえば、同じ38万円の控除をしたとしても、税率10%だったら3万8千円しか税金は安くならないが、税率50%の人は19万円安くなる、だから「金持ち優遇」だということです。
しかしこれは、増減税の絶対額でみた場合です。税の負担をみる場合は、絶対額で比較するものではなくて、もともと払っている税金がどれだけ増えるか、その規模との関係でみなければいけません。たとえ3万8千円の税金でも、年収3百万円くらいで、これまでは所得税がゼロだった人には大変な負担増ですが、年収が1億円もあって何千万円も所得税を払っている人なら、19万円増えても減っても、影響はきわめて小さいのです。
ですから絶対額で比べるのではなく、いままで払っている税金に比べてどれだけ変化するか、または、年収と比べてどうか、こういう比較が必要なのです。そういう比較をすれば、配偶者・扶養控除を廃止していくという増税の仕方は、低所得者に重い増税だということになります。絶対額だけで比較すると誤った結論になるということを、しっかりつかんでおく必要があると思います。(垣)
〔2005・11・17(木)〕