2005年11月21日(月)「しんぶん赤旗」
イラク 国づくり議論
アラブ連盟提唱の和解会議
準備会合で対立も
【カイロ=小泉大介】アラブ連盟が提唱する「イラク国民和解会議」の開催に向けた準備会合が十九日、カイロの同連盟本部で三日間の日程で始まりました。イラクからは政府首脳はじめ約百人の各宗教・宗派、民族の代表が参加。統一と新たな国づくりに向けた重要な機会となる一方、基本問題での対立が早くも表面化しました。
冒頭あいさつしたアラブ連盟のムーサ事務局長は「今日はイラク国民の和解の開始という歴史的な日である」「アラブは、主権を持ち自由と平和、繁栄とともにある統一したイラクを望んでいる」と指摘。焦点の治安問題では、「テロ攻撃を厳しく糾弾する」と述べると同時に、「国民の団結こそ真の治安の源であり、外国軍の存在によってはもたらされない」と強調しました。
開催国を代表してあいさつしたエジプトのムバラク大統領も、「イラク国民の和解と統一こそ、政治過程の進展と外国軍駐留の段階的な終了にとって最も重要である」と呼びかけました。
今会合は、来年一月にバグダッドでの開催をめざす「和解会議」に向け、日時や議題設定など準備を行うためのもの。しかし、外国軍撤退問題をはじめ旧フセイン政権与党のバース党関係者や武装抵抗勢力の会議参加問題などをめぐり、初日から論争が繰り広げられました。
イラクのジャファリ首相(イスラム教シーア派)はアラブ連盟への謝意と和解会議の重要性を表明する一方で、「旧バース党員に参加の余地はない」と明言。これに対しヤワル副大統領(イスラム教スンニ派)は「問題解決を望むのであれば、すべてのイラク人が参加することが必要だ」と指摘しました。
外国軍撤退の問題では、タラバニ大統領(クルド人)が「抵抗運動は政治的、平和的な手段で行われなければならない」と述べたのに対し、スンニ派有力組織であるイスラム聖職者協会のダーリ事務局長は「テロは犯罪であるが抵抗は合法的な権利である」と述べ、「和解会議の議題の第一は、占領軍の撤退日程の設定でなければならない」と強調しました。
このほか初日の会合では、先に国民投票で承認されたイラク憲法の評価をめぐり議事が一時中断するなど、共同声明の採択の可能性も含め、協議の行方は予断を許しません。
アラブ連盟には二十一カ国とパレスチナ自治政府が加盟しています。