2005年11月21日(月)「しんぶん赤旗」
“民間任せ 国の責任重い”
説明会で住民が批判 川崎
マンション耐震強度偽造
「国は住民の命・財産を守る責任がある」。首都圏のマンションなどをめぐる構造計算書(耐震強度)の偽造問題で、倒壊の恐れが判明したマンションの居住者に対して川崎市は二十日、説明会を開きました。午前十時から始まった説明。国と市の責任を問う被害マンション住民の意見が相次ぎ二時間を超えて行われました。
全戸二十三戸のうち二十二世帯、四十二人が出席。川崎市は偽造が発覚した経過や公営住宅への仮住まいの検討などについて示しました。
記者会見したマンション管理組合副理事長(42)は「市は安全と財産を守るというスタンスが欠落している。具体的にどうなるのか答えていない。(建築確認・完了検査などを)民間に移した国の責任は最も重い。責任をとるべきだ」と厳しく批判しました。
さらに、同副理事長は「姉歯建築設計事務所は論外だが、市も責任がある。チェック機能が生かされていないわけで、国は、われわれにも補償すべきです。それぞれが自分は責任が無いようになすり合いしているが、住民のことは考えていない」とのべて、不安と怒りを示しました。
会計理事(50)は「ついの住まいとして買ったのにお先真っ暗。住民が結束して安心できる暮らしを取り戻したい」といいます。「妻と中学生の子どもと三人。子どもは転校できず他に引っ越すわけにもいかない。川崎市は公営住宅をあっせんするというが家賃は取るという。安価で広い部屋を確保でき快適な生活だったのに…」と、絶句します。
二十六歳の若い理事長は、耐震強度が偽造されていたと聞き「ウソだろう」と思ったといいます。現在は「不安で夜も眠れない」といいます。
マンション管理組合は同日、引っ越し費用の負担や責任の明確化と追及など七項目の要求書を川崎市に提出しました。また、分譲主のヒューザーには契約の解除や建て替えなどを求めて交渉していく方針です。
■不正見抜く保証ない現状
■福井の建築構造設計事務所長 渡辺三郎さんの話
福井市にある渡辺建築構造設計事務所長の渡辺三郎さんは、建築確認をおこなう確認検査機関を開設する資格(建築基準適合判定資格)を持っています。建築基準法の改悪で、建築確認を民間がおこなえるようになったことが今回の事件の背景にあります。現在の状況をどうみるか、聞きました。
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建築確認検査を自治体がやっていたときには、構造計算の専門家が各自治体にいて、設計に問題ないかどうかきちんと見ることができていました。
しかし、民間の検査機関にはその保証がないのが実情です。一定の行政経験がある人であれば建築基準適合判定資格者となり検査機関を開設することができるので、そこに構造計算の専門家がいるとは限らないからです。
そういう検査機関では、構造計算書の最初と最後のつじつまさえあっていれば、途中でどんなことがおこなわれていても見抜くことはできないのではないでしょうか。
それをいいことにいんちきな計算をして、うちでやれば早くできますよということを売りにして仕事を受注する。こんなことも起こりかねないことは当初から予想できたことです。しかし、一九九八年の建築基準法改定のときに国会で反対したのは日本共産党だけで、通ってしまいました。
小泉首相をはじめ、与党も民主党も「行政のスリム化」とか、「小さな政府」とか、ただただ公務員を減らせばいいようなことを盛んにいっています。しかし、建築確認検査を民間に「開放」するというのも、まさにそういう流れの一環としておこなわれてきたものです。
今回の事件はやみくもにそんなことをすればどうなるか、その問題点を具体的に示した一例といえるのではないでしょうか。