2005年11月24日(木)「しんぶん赤旗」
米大統領 アジア歴訪
イラク問題が影
中国とは協力打ち出す
【ワシントン=山崎伸治】十六日から二十二日までのブッシュ米大統領のアジア四カ国歴訪は、米国内でイラク撤兵の声が民主党からも上がるなかで、米主要メディアも「イラク問題がアジアまで付きまとう」と報じるものとなりました。
「みんながイラクについて話していても驚かない。イラクは米国にとって重大問題だ」―二十日、北京での記者会見でブッシュ氏はこう述べました。
米兵の死者が二千人を超え、開戦にかかわる問題でホワイトハウス幹部が起訴されるなど、イラク問題が歴訪に大きな影を投げかけることは予想されていました。それに加えてブッシュ氏は、十一日の退役軍人の日の演説に続き、歴訪に向かう途上のアラスカ州で、イラク問題で政権批判を強める民主党に反論。非難の応酬に拍車をかけました。
その結果、京都や釜山など、行く先々の記者会見で繰り返し、質問されることになりました。
しかし、ブッシュ氏は、韓国・ソウル近郊のオサン空軍基地での演説ではイラク派兵継続を改めて強調。歴訪先の日本、韓国、モンゴルは派兵継続をそろって表明しました。ブッシュ氏が訪問国に選んだこれら三国はいずれもイラク派兵国。「有志連合」がくしの歯が欠けるように減るなかで、ブッシュ氏にとっては、イラク政策での孤立を覆い隠す国際的支援を演出するイベントになりました。
一方「歴訪のメーンイベント」(米紙)とされた米中首脳の一連の会談は経済や安全保障問題での協力を打ち出しました。
経済関係が深まり、軍事面でも新たな関係構築を進める中国との良好な関係を維持することは、国際的にも、アジアでも孤立をいっそう深めかねないブッシュ政権にとって重要な課題。ゼーリック国務副長官は「米国はアジアにおける中国の利益を尊重し、アジアの多国間外交における役割が有益であることを認識している」と述べています。