2005年11月24日(木)「しんぶん赤旗」
耐震偽造
“寝られない”“建て替えを”
説明会で不安相次ぐ
マンションの耐震強度偽装問題で二十三日、東京や千葉では行政側や建築主による住民説明会が開かれました。住民は購入費返還や建て替えのほか、引っ越し費用や家賃補助など、早急な対応策を要求。「補修」をほのめかす建築主に怒りの声も上がりました。
国土交通省が震度5強程度の地震で崩壊する恐れがあると発表した墨田区内のマンション「グランドステージ東向島」の住民説明会には全三十六世帯から約五十人が出席。「いつ壊れるかと思うと怖くて夜も寝られない」「当面の仮住まいを確保したい」など不安の声が相次いで出されました。
記者会見した東向島耐震強度偽装対策委員会の代表・田中拓さん(32)=会社員=は、「住民のみなさんは、不安で表情も暗い。ほとんどの人が体調をくずしています。スピーディーな対応をお願いしたい」と顔を曇らせました。
家族三人で暮らしている荻津健二さん(40)=会社員=は、「昨年十一月に完成し、十二月に引っ越したばかり…。(住民同士で)建て替えを信じて一致団結していくしかない」と話しました。
江東区扇橋のマンション「グランドステージ住吉」(十一階建て、六十七戸)の住民説明会では、建築主「ヒューザー」(東京都千代田区)の小嶋進社長が「最終的な責任がどこにあるかは別にして、住民に対する責任は百パーセント、ヒューザーにある」と発言。
住民側は「補修は全く考えていない。まず契約を解除してほしい」と求め、管理組合の理事長(42)は報道陣に「責任論より安全。今は誰が悪いか考える余裕がない」と述べました。
千葉県船橋市が開いた説明会では、同市湊町の「サン中央ホーム第15」(十階建て、五十九戸)の住民約三十人が参加。建築主がいないことに住民から不満が噴出、「呼んでこい」と怒号が飛びました。このため急きょ建築主の不動産会社「サン中央ホーム」側が説明。当初は転居先への移転費用などを全額負担するとしていた同社が、上限を二十五万円としたことに住民の怒りは爆発。「三十万円に変更する」との提案にも応ぜず、結論は持ち越されました。