2005年11月25日(金)「しんぶん赤旗」
「遊就館」肯定
戦後の原点否定は重大
緒方氏批判 麻生外相が居直り
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麻生太郎外相は二十四日、参院拉致特別委員会で靖国神社の「遊就館」の展示を「当時をありのまま伝えているだけ」と肯定した自身の発言(二十一日)に関し「(同館の展示が戦争正当化だというのは)見解の相違だ」と述べ、発言は正しかったとの考えを示しました。日本共産党の緒方靖夫議員の質問に答えたもので、緒方氏は「遊就館の展示を擁護するのは外相として非常に重大だ」と批判しました。
緒方氏は、遊就館が日本の侵略戦争を「自存自衛、アジア解放のため」と正当化し、日米開戦も米国が悪くて日本は正しかったとしていることを指摘。「大臣の(二十一日の)発言は大臣自身の正確な認識なのか」とただしました。
麻生氏は「私の場合はあなたと違って戦前生まれ。そういった意味で私の方が記憶は正確」「見解の相違だ」と開き直りました。
緒方氏は、ブッシュ米大統領が対日戦勝六十周年記念演説(八月三十日)で日本の戦争は「アジア解放」ではなく「西欧植民地主義をもっと過酷で抑圧的」にしたと発言したことについても、「大臣は間違っていると考えているのか」と追及。
麻生氏は「戦った相手の米側としては自国の正義を貫かないと具合が悪い立場だからそう言う気持ちは分からないわけではないが、こちら(日本)側ではこちら側の言い分があって当然」と述べ、米側とも見解が違うことを強調しました。
さらに小泉純一郎首相が国会でも「靖国神社の考え方と、政府の考え方は違う」と答弁していることを緒方氏が指摘したのに対し、麻生氏は「一宗教法人の見解をどうのこうのと言う立場に、政府はない」と述べ、首相の立場とも食い違う答弁をしました。
緒方氏は「戦後の世界は日本の侵略戦争が誤りだったという認識から出発している」とのべ、戦後の国際秩序に挑戦する麻生発言を批判しました。