2005年11月26日(土)「しんぶん赤旗」
国連軍はどう組織されるの?
〈問い〉 国連軍とはどのように組織されるのですか? 国連軍に入らないことは認められるのですか?
(北海道・一読者)
〈答え〉 国連憲章は、第7章で平和にたいする脅威や平和の破壊、侵略にたいして、非軍事的な措置では不十分な場合は軍事的措置をとることができると規定し、それに必要な兵力は、加盟国が安全保障理事会と特別協定を結んで提供するとされています。こうしてつくられる国連指揮下の国際兵力を「国連軍」とよぶことができます。
ところが、こうした正規の国連軍はこれまで一度もつくられたことがありません。1950年の朝鮮戦争のさいに「朝鮮国連軍」がつくられましたが、実態は米韓連合軍であり、正規の国連軍ではありませんでした。クウェートを侵略したイラクにたいする湾岸戦争(1991年)のさいの「多国籍軍」は、米軍などの軍事行動に安保理がお墨付きをあたえたにすぎず、国連軍とは別物です。国連が国際的な紛争にたいして展開してきた国連平和維持(PKO)部隊は、敵対勢力の間に割って入って戦争や紛争を押しとどめるためのものであり、第7章にもとづく国連軍とは性格が異なります。
正規の国連軍が仮に将来つくられたとしても、日本がそれに入らなければならないということはありません。軍事的なPKOについても同じです。
各国は自国の「憲法上の手続き」にしたがって国連に加盟するので、加盟国が自国の憲法に反する軍事的義務を押し付けられることはありません。しかも日本は、加盟にあたって日本国憲法の許す範囲内で国連に協力するとの立場を宣言し、軍事的協力を必要とするような国連の義務をおわないことをあきらかにしています。
憲法9条の精神は、武力不行使や紛争の平和的解決など国連憲章の原則とも合致します。日本は、憲法の基本精神にそったやり方で加盟国としての義務をはたせばいいわけです。(小)
〔2005・11・26(土)〕