2005年11月27日(日)「しんぶん赤旗」
イラク米占領 長期化を警告
英の研究機関
【ロンドン=岡崎衆史】英国の研究機関「オックスフォード・リサーチ・グループ」はこのほどイラクについての報告書をまとめ、イラクの武装勢力が数十年を視野に入れて活動しているため、米軍が撤退しなければ、同じ程度の長期にわたって戦闘状態が続くと警告しました。
二十三日に公表された報告書は、「米軍の長期駐留は、イスラム武装勢力を引き付ける磁石として作用する」と強調。その上で、「そうした集団は週や月単位で活動するのではなく、外国占領軍や地域のエリート体制とのたたかいを数十年の単位でみている」として「米軍が、(武装勢力と)同じ日程表で行動すれば、駐留する限り急進的な武装勢力の反撃を促す」と分析しました。
報告書はまた、米軍のイラクでの軍事作戦について、「米国にたいする地域の反感を非常に強め、武装勢力への幅広い支持を集めた」と述べ、武装勢力掃討の名で展開する米軍の作戦が武装勢力への支持を広げる逆効果になっていると強調しています。
また、「恐らく、イラクを越えて展開し活動する急進的なイスラム運動が人員を獲得する上でもより広い影響を与えている」として、イラク国外でも反米感情を拡大させ、治安悪化を招いていることを指摘しました。
報告書は、米軍がイラクからの撤退に追い込まれた場合の米国内での政治的影響について、「ベトナム撤退よりもはるかに深刻で、湾岸の安全保障についての米国の全政策を損なわせる」と述べました。