2005年11月29日(火)「しんぶん赤旗」
京都議定書 初の締約国会合
次期枠組み検討へ
12年以降の温暖化防止 米、離脱後なお抵抗か
【ワシントン=鎌塚由美】地球温暖化防止のための第一回京都議定書締約国会合(COP/MOP1)および気候変動枠組み条約第十一回締約国会議(COP11)が二十八日から十二月九日までカナダのモントリオールで開かれます。
今回の会議は、京都議定書が今年二月に発効してから初めての会合。同議定書を採択した一九九七年の枠組み条約第三回締約国会議(COP3)以来で最大規模になると予想され、各国政府や非政府組織(NGO)の代表など約一万人の参加が見込まれています。十二月七―九日にはCOP/MOP1とCOP11の合同閣僚級会合を開きます。
気候変動枠組み条約は人類の生存を脅かす「危険な気候変動」を回避するという目標を掲げ九二年に調印されました。一九九七年には、先進国の温室効果ガス排出量を二〇一二年までに九〇年比で5%削減することを義務づけた京都議定書を採択しました。
■運用ルールも
今回の会議では、締約国が議定書の運用ルールを採択し、法順守委員会を立ち上げることが期待されています。
また〇五年までに次期枠組み交渉を開始させるとの議定書の規定に基づき、京都議定書の目標達成期限である一二年以降の温暖化防止策の公式な検討を開始させます。
COP11開催にあたりキンレイ枠組み条約事務局長は、「会議は一連の実質的成果を実現するだろう」との期待を示しました。
NGOからは、「次期枠組み交渉の過程について、明確な目標として締約国間で共有されるよう、マンデート(義務的な合意)として採択されるべきだ」(日本の気候ネットワーク)との声が上がっています。
議定書からの離脱を表明した米国は、枠組み条約にはとどまっており、COP11には当事国として、COP/MOP1にはオブザーバーとして参加します。次期枠組み交渉に関しては、米国などの抵抗が予想されています。
■「役割果たす」
昨年十二月にアルゼンチンで開かれた第十回締約国会議(COP10)で米国は、次期枠組みを話し合う専門家セミナー開催提案に対し「時期尚早」として抵抗しました。しかしCOP11は同セミナー開催で合意。セミナーは今年五月にドイツのボンで開かれました。
米上院環境・公共事業委員会公聴会(十月五日)で証言した国務省海洋・国際環境・科学業務局のワトソン特別代表はモントリオール会議について、「われわれは締約国会議の枠組みのなかで建設的な役割を果たし、前回二回の会議と同様に、積極的な提案を行う」などと表明しています。京都議定書から離脱してもなお妨害を続ける米国の姿勢に、各国からの反発が予想されます。
▼京都議定書 温暖化防止のため、温室効果ガス削減の法的拘束力のある数値目標の達成を先進国に義務づける史上初の国際協定。その第一段階として、二〇〇八年から一二年の間に先進国全体で九〇年比5%の温室効果ガスの削減を義務づけ。日本は6%、欧州連合(EU)は8%など国別の目標も定めました。最大の排出国である米国は、クリントン前政権が議定書に署名したにもかかわらず、ブッシュ政権になった〇一年に離脱を表明。発効が危ぶまれましたが、ロシアの批准で発効条件を満たし、今年二月十六日に発効しました。現在、百五十六カ国・地域が批准しています。