2005年11月30日(水)「しんぶん赤旗」
地球温暖化防止の国際会議開幕
京都議定書後を議論
米に交渉復帰呼びかけも
カナダ・モントリオール
【ワシントン=鎌塚由美】先進国に温室効果ガスの削減義務を課す京都議定書が発効して初めての第一回京都議定書締約国会合(COP/MOP1)と地球温暖化防止のための気候変動枠組み条約第十一回締約国会議(COP11)が二十八日、カナダのモントリオールで開幕しました。
■誓約を示そう
現地からの報道によると、会議の議長に選出されたカナダのディオン環境相は、世界各国が地球温暖化防止のため積極的な行動をとり京都議定書への誓約を示そうとしていると述べ、「われわれは将来の気候を保護するために、ともに力をあわせる新たな方法を見いだせるよう、いっそう努力を強めなくてはならない」と呼びかけました。
また気候変動枠組み条約事務局のキンレイ臨時事務局長は、京都議定書が発効したことを喜び、「モントリオールでの仕事は、議定書の規則集であるマラケシュ合意を含む諸決定を正式に採択すること」だと指摘。「議題はたくさんある。具体的で重要な結果を出すことが期待されている。各国は、変化を起こすためにモントリオールに集まった」と強調しました。
COP11の会議では、英国が欧州諸国を代表して発言、「締約国会議では、(京都議定書の第一約束期間が終わる)二〇一二年の後についてどう提唱するかが問われている」と述べました。
京都議定書には背を向けながらも気候変動枠組み条約にとどまっている米国の代表は、気候変動枠組み条約と京都議定書には明確な「区別が必要だ」と主張しました。
■時間はわずか
一方、COP/MOP1会合では、南太平洋の島国ツバルの代表が、「議定書締約国でない諸国が再考し、世界が直面する(温暖化への)挑戦のために議定書に加わることを希望する」と発言。名指しを避けながら、米国に国際交渉の場に復帰するよう求めました。
今会合では、非政府組織(NGO)が多数参加し、各国政府に働きかけを強めています。
グリーンピース・インターナショナルによると、同団体は会場の外に四メートルの高さの砂時計を設置し、入場する各国政府代表に、「(温暖化防止が手遅れになる前に行動できる)時間はわずかだ」とアピールしました。
同団体のタンモア氏は、「温暖化問題は、将来解決すればいいという先の問題ではありません。もっとも壊滅的な影響を避けるために残された時間は、本当にわずかです。この地での各国政府の迅速で、決定的な行動がなければ、われわれは間もなくブレーキのきかない暴走する列車に乗っていることを知るでしょう」と述べました。
世界自然保護基金(WWF)は、会議の開幕にあたり、京都議定書後の次期枠組みの議論を今こそ始めるべきだとの声明を発表しました。
同基金の気候変動対策プログラムのモーガン局長は、この会議で「人類と自然が気候変動による最悪の影響を回避するチャンスをつかめるように、各国が交渉し正式な決定と誓約がなされなくてはならない」と強調しました。
■13年以降の合意求める WWF英国
【ロンドン=岡崎衆史】世界自然保護基金(WWF)英国は二十八日の声明で、地球温暖化防止のため京都議定書にはない二〇一三年以降の国際的枠組みについて、温室効果ガスを規制する取り決めについて各国が合意するよう訴えました。将来の枠組みを拘束力のないものにしようとする米国政府などをけん制したもの。
WWF英国は、一三年以降の枠組みについての交渉を〇八年末までに終えるよう主張、合意のために英国が欧州連合(EU)議長国として指導性を発揮するよう求めています。
WWF英国のアンドリュー・リー運動部長は、「京都議定書の締約国は法的拘束力のある目標を再び設定し、(議定書に参加していない)他の大規模な温室効果ガス排出国が将来これに加わるよう奨励しなければならない」と述べ、京都議定書から離脱した米国や産業界などが強く推している将来の温暖化防止の枠組みを数値目標を定めない緩やかなものにするとの案を批判しました。
リー氏は「京都議定書は次の約束期間の交渉を後日ではなく今始めるように求めている」と述べ、枠組みづくりを急ぐよう要求しました。