2005年12月2日(金)「しんぶん赤旗」
“状況変われば撤退も”
米国家安保会議 イラク政策で文書
【ワシントン=山崎伸治】米ホワイトハウスの国家安全保障会議は三十日、同日のブッシュ大統領のイラク問題での演説に合わせて、「イラクにおける勝利のための国家戦略」と題する政策文書を公表しました。
「予定表に沿って勝利した戦争はかつてない」とイラクからの撤退期限を示すことは否定しながら、「状況が変われば態勢も変わる」として、「保証はできないものの、われわれが期待するのは、政治面での変化が進み、イラク治安部隊がますます経験を積めば、来年のうちに米軍の態勢が変わることだ」として、撤退に踏み出す可能性を示しています。
米国内で高まる撤退要求に対し、あいまいながら「来年のうち」という一定の「見通し」を示すことで、これ以上の政権批判をかわそうという狙いがうかがえます。
同戦略はイラクでの「勝利」について、短期、中期、長期の目標を提示。短期的にはテロリストとのたたかいや民主主義の制度の確立で着実に前進し、長期的にはイラクを平和で安定し、国際社会に統合された国家とすることをあげています。さらに政治、治安、経済の三つの分野での課題を列挙しています。
「勝利には時間がかかる」として、「サダム(・フセイン元大統領)が権力から退いて三年もたたないうちに、民主主義が完全に機能し、敵を打ち負かし、長年の対立を平和に解決すると期待するのは非現実的だ」と開き直っています。