2005年12月6日(火)「しんぶん赤旗」

日中韓首脳会談延期

靖国参拝が残した傷跡深く


 東南アジア諸国連合と日中韓(ASEANプラス3)首脳会議にあわせた日中韓首脳会談が延期されたことは、小泉純一郎首相の五年連続となった靖国神社参拝が日本外交に残した傷跡の深さをあらためて示しました。

 ASEANプラス3の際の日中韓三カ国首脳会談は一九九九年にスタート。今回が七回目となるはずでしたが、中国側から「諸般の事情」による延期の連絡がありました。

■改善策はなく

 安倍晋三官房長官は、「首相の靖国参拝については、中韓に対して誠意をもって説明していかなければならない」(五日)とのべましたが、日中両国関係の具体的な改善策はなし。今回の会談延期がもたらす日本外交への悪影響を問われても、「特段コメントする必要はない」とくりかえすばかりでした。

 小泉首相は今年も十月十七日に靖国神社への参拝を強行しています。十一月の韓国・釜山でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)では、韓国大統領から「韓国への挑戦」と批判されたばかりです。中国とは四年間も首脳の相互訪問による会談は行われていません。

 しかし、小泉首相は五日も、「向こう(中国)が延期する。それでも結構です」とのべ、自ら招いた事態になんの反省もありません。それどころか、「もう靖国は外交カードにならない。いくら中韓が外交カードにしようとしても無理だ」と中国側を批判。会談延期の背景に首相の靖国神社参拝があると指摘されても、「そうじゃない。批判する方がおかしいと思っている」と開き直りました。

 靖国神社は戦前・戦中に日本の侵略戦争の精神的支柱となった神社です。戦後も、侵略戦争を正当化する歴史観、戦争観を宣伝しています。

■政府のお墨付き

 この神社に首相が参拝することは、政府が“靖国史観”にお墨付きを与えることになり、内外の批判を浴びるのは当然です。

 小泉首相は、日本共産党の国会での追及に、「靖国神社の考えと、政府の考えは違う」と言明しており、首相の連続参拝は、そもそも道理がありません。

 日本共産党第二十四回大会決議案は、「日本政府が“靖国史観”を肯定する行動をとりつづけるならば、日本外交のゆきづまりと孤立は、いよいよ深刻にならざるをえないことを、強く警告しなければならない」と指摘していますが、その通りの事態が進行しています。

 「靖国神社の考えと、政府の考えは違う」というのであれば、小泉首相はそれを行動で示すべきです。(小林俊哉)


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