2005年12月6日(火)「しんぶん赤旗」
雇い兵の市民銃撃野放し
法的手続きがとられず
■米紙が報道
【ワシントン=鎌塚由美】米紙ロサンゼルス・タイムズ四日付は、イラクで駐留米軍の雇い兵がかかわる市民銃撃事件が起きているにもかかわらず、法的手続きが取られていないと告発しました。イラクで米軍などと契約を結ぶ雇い兵は約二万人。米軍特殊部隊などにいた元兵士が雇い兵となっていますが、彼らは軍人、民間人いずれの扱いを受けるかあいまいな「法的グレーゾーン」にあるといいます。暫定統治機構の下では、違法行為にかかわったとしても、イラクで起訴されない免責特権を得ていたとされます。
同紙によれば、五月に雇い兵に護衛された米大使館報道官の車列からタクシーが発砲を受け、乗客の一人が死亡、運転手が負傷。運転手は「何も警告を受けなかった。急襲だ」と主張しましたが、大使館当局者は、雇い兵に法的手続きを取らないことを決めました。
同紙は、米政府関係者や米軍に雇い兵を提供する企業の「ほとんどが政府財政から支払いを受けているにもかかわらず、管理する政府機関が一つもない」ことを問題視。米議会付属機関の政府監査院(GAO)によると、二〇〇三年以来、政府から七億六千六百万ドル(約八百九十六億円)が支払われているといいます。
また、雇い兵会社が自主的に国防総省に提出した報告の中にある「重大事件」二百件のうち11%は、「市民の車から発砲を受けていないのに雇い兵が自爆テロ犯の可能性があるとして発砲した」事例だと伝えました。
同紙は情報公開法によって報告を入手。「国防総省は、一部を公表しているだけなので、問題がどれだけ広範囲に及ぶか分からないが、これらの情報によっても、イラクの街頭でおこる無秩序を垣間見ることができる」と指摘しています。