2005年12月7日(水)「しんぶん赤旗」

大企業143社 ため込み利益204兆円

国予算の約2.5倍にも

トヨタ1社で10兆円超

全労連など春闘白書


 空前の利益をあげるトヨタ自動車など主要大企業百四十三社(銀行、証券除く)のため込み利益(連結内部留保)は一年間で二十一兆円を積み増し、二百四兆円の巨額にのぼっている―。全労連(全国労働組合総連合)と労働総研(労働運動総合研究所)が五日発表した『二〇〇六年国民春闘白書』で、こんな実態が明らかになりました。


■1年間で21兆円積み増し

写真

(写真)全労連の国民春闘討論集会で発言する参加者=2日、静岡県熱海市

 『白書』によると、トヨタ自動車は二〇〇五年三月期の連結経常利益が一兆七千五百四十六億円で第一位。次いで、NTTドコモが一兆二千八百八十二億円、三越八千八百七十七億円、日産自動車八千五百五十七億円、ホンダ六千五百六十八億円と続いています。経常赤字は四社(3%)のみで、97%の百三十九社が経常黒字です。

 この連結経常利益が多いため、連結内部留保は82%の百十七社で積み増ししています。連結内部留保が一兆円を超える大企業は、自動車、電機、電力、通信、商社、鉄道など二十九社あり、トヨタ自動車が十兆三千六百十三億円と断然トップです。「内部留保は、低賃金と長時間過密労働による労働者からの搾取、下請単価切り下げなどの中小企業いじめによる収奪などの結果にほかならない」と指摘しています。

 〇四年度の二百四兆円の内部留保額は、〇五年度国家予算額の約二・五倍です。バブル経済時の一九九〇年度と比べて、二倍に増やしています。

 小泉内閣の四年間でみると、経常利益を六兆三千九百八万円増やした大企業の内部留保は三十一兆円積み増しました。

 他方、労働者は、リストラ・首切りと正規から非正規への置き換えで、常用雇用労働者は百二十四万人も減少しました。現金給与総額は年間で二十五万円の減収となり、勤労世帯の実収入も年間三十七万円減りました。

 大企業が内部留保をため込む一方で、労働者・国民の家計は冷え込み、「これまで労資で“紳士協定”になっている内部留保問題に言及することがあるかもしれない」(連合幹部)と〇六春闘の焦点になっています。

 『白書』は、主要大企業で従業員一人あたり一千万円以上の内部留保がある企業は九十六社。その従業員に月一万円の賃上げ(一時金六万円増)を実施するには、内部留保金のわずか1・8%で可能と試算しています。

 全労連は、急増するパートや派遣、契約社員などの不安定雇用労働者を視野に入れ、「国民大収奪・大企業の利益最優先政策に反対し、大企業に社会的責任を果たさせるための国民共同を前進させ、労働者・国民の生活を改善・向上させることが緊急に求められている」とのべています。


 ▼内部留保 企業がため込んだ、隠し利益を含むさまざまなもうけのことです。全労連は、「連結剰余金」「資本準備金」「退職給付引当金」「長期負債性引当金」の四つの合計額を連結内部留保としています。

グラフ

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp