2005年12月7日(水)「しんぶん赤旗」
開催中の温暖化防止会議
米国交渉責任者は石油業界推薦だった
米紙報道
【ワシントン=鎌塚由美】米国のワシントン・ポスト紙は五日、モントリオールで開かれている地球温暖化防止の国際会議で米国の交渉責任者を務めるハーラン・ワトソン代理代表について、米石油大手企業が後押しする人物であることを明らかにしました。
同紙は、気候変動枠組み条約締約国会議(COP11)と京都議定書締約国会合(COP/MOP1)(米国はオブザーバー参加)で米国代表団の責任者を務めるワトソン氏が、「強制的な二酸化炭素の排出規制に反対する米国やその他の国が、京都議定書後に取り組むべきことを話し合う理由はない」と述べていることを指摘。ワトソン氏のこの態度は「彼が石油産業界からの明確な人気を得ていることをふまえると驚くべきことではない」としています。
同紙によると、米石油大手のエクソン社が二〇〇一年二月にホワイトハウスに要請文を送り、「気候変動の国際交渉にワトソン氏をより関与させるように要請した」とし、エクソン社は、一貫して温室効果ガス排出の法的規制に反対しているとも述べました。
この要請文は、同紙が、環境団体から入手したものだといいます。その要請文はさらに、「悲惨な地球温暖化シナリオに疑問を呈する人物を重要な国際交渉ポストに任命するようブッシュ政権に要請」していたといいます。
エクソン社は同紙に対し、要請文の存在は認めていますが、誰が送ったかは明らかにしていません。国務省もノーコメントだといいます。
最後に同紙は、「(ワトソン氏は)米国民を代表しているのか、それとも先月、議会で宣誓をして証言するのを拒否した石油企業重役を代表しているのか、問わざるを得ない」と述べる環境活動家の懸念の声を紹介しています。