2005年12月7日(水)「しんぶん赤旗」
ラムサール条約とは?
〈問い〉 ラムサール条約とは何ですか?(北海道・一読者)
〈答え〉 11月、ウガンダで開かれたラムサール条約締約国会議で、日本の尾瀬、中海、宍道湖など20カ所が、条約湿地に登録され、国内の登録湿地は計33カ所となりました。
ラムサール条約―「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」は、1960年代に欧州で水鳥が減少したことがきっかけとなり、71年に、カスピ海湖畔のラムサール(イラン)で開かれた会議で、湿地を守る目的のためにつくられ、75年に発効しました。
その後、99年の締約国会議で、湿地の重要性について、従来は水鳥中心で考えていましたが、魚介類や水生植物をはじめ多様な生物の生存にとっても貴重な場であるという視点から、新たに、サンゴ礁、マングローブ林、高山湿地なども対象とされました。同時に、登録数についても、世界で、1千カ所から倍の2千カ所に増やしました。
日本政府は、05年までに99年の倍の22カ所以上にする目標を掲げ、環境保護団体・関係者も、積極的に取り組み、今回、登録数を増やすことができました。
しかし、日本では、20世紀後半、大規模な環境破壊の公共事業等によって、すでに、約4割の干潟が失われました。東京湾9割、伊勢湾6割、瀬戸内海で3割が破壊され、いままた、諫早湾(長崎)や沖縄の泡瀬、辺野古周辺等で、埋め立てによる干潟、浅海域、サンゴ礁等の破壊が、強行されようとしています。このままでは、日本の環境は、取り返しのつかないことになります。本来なら、このような地域こそ真っ先に登録し、残していかなければならないはずです。ですから、今回、数が増えたからよかったではすまされない事態です。
一方、ラムサール条約常設委員会は、「復元あるいは回復すべき湿地の優先度を特定するための評価の実施」を、各国に呼びかけています。つまり、これからは、新規事業による破壊をやめるだけではなく、すでに、破壊してしまった湿地等の復元、回復が大きな課題だということです。
日本共産党は、04年6月に「干潟海域の保全等に関する法律案」を参議院に提出しましたが、ますますこの視点が大切だと考えています。(恵)
〔2005・12・7(水)〕