2005年12月8日(木)「しんぶん赤旗」
“悪意あれば隠ぺい可能”
民間検査の問題露呈
耐震偽装・参考人質疑
マンションなどの耐震強度偽装問題で、十一月二十九日に続いて七日、行われた衆院国土交通委員会の参考人質疑。構造計算書を偽造した張本人や、事件の「黒幕」とされる人物が「体調不良」を理由に欠席したため、真相解明や責任追及にはほど遠いものとなりました。しかし、民間検査機関まかせの建築確認制度の問題点が改めて浮き彫りになりました。
■日本ERI
アトラス設計の渡辺朋幸社長から一年半以上も前に、「建築確認した物件に構造上の問題がある」との通報を受けていた日本ERIの鈴木崇英社長。参考人質疑では、なぜ、同社がこのことを重大問題として把握せず、行政に報告しなかったのかという点に質問が集中しました。このとき、同社が問題を明るみに出していれば、被害が拡大しなかったからです。
鈴木社長は、「担当者はミスの問題だと思った」とし、「偽造、不正であると認識していなかったので、計画変更ということで建築確認をおろした」と弁明。「社としてまったく対応しなかったということか」との質問には、「社内に事故苦情報告制度をつくっているが、あがってこなかった。何かしらの行動を起こすということはなかった」とのべ、積極的に対応しようとしなかった無責任さを露呈しました。
行政に報告して建築確認の取り消しをせずに「計画変更」ですませたことについて、委員からは「計画変更」を利用すれば「不正の隠ぺいができるのではないか」との質問も。鈴木社長は「担当者が悪意をもってやれば可能」とのべました。
■イーホームズ
前回の参考人質疑の際、「審査は適法だった」との考えを示したイーホームズの藤田東吾社長。アトラス設計の渡辺社長が「すぐに気がつく内容だった」とする東京・足立区のマンションについて、偽造は「通常の確認検査では見抜けないところ」として、法律上の過失はないことをこの日も強調。
「わたしどものところだけ見抜けなかったわけではない」と居直り、「確認検査業務の範囲で検査したものが結果として偽造だったということ」とのべました。
■問題は競争世界
日本共産党の穀田恵二議員は「建築確認業務が、競争世界だというのが最大の問題」と指摘。「競争相手を打ち負かすために、建築確認を下ろすのが速いと宣伝する。逆に、施工者が検査機関に、甘さをそそのかすということがあると聞く」とのべ、「そういう事実を把握しているか」と問いただしました。
日本ERIの鈴木社長は「事前相談の際、きびしい指摘をすると申請者が別の機関に行くという事実はございます」とのべ、審査の甘い検査機関に検査が集中するという業界の実態を明らかにしました。