2005年12月13日(火)「しんぶん赤旗」
耐震偽装で公開討論会
民間任せの検査 批判
建設労働者・専門家ら
「耐震強度不足のマンションは何故(なぜ)つくられたか」と題した公開討論会が十一日、東京・渋谷区内で開かれました。建設政策研究所の主催で、建設業界にかかわる労働者や専門家など約八十人が参加。今回の耐震強度偽装問題で、浮き彫りになった民間検査機関による確認検査制度の抜本的な見直しなどを盛り込んだ提言を発表しました。
同研究所理事長の永山利和日本大学教授があいさつ。「建築物は公共性が高く、長期の耐久性を求められる。性能、安全性は特別に確保しなければならない。行政が責任をもってかかわる部分を明確にすべきだ」とのべました。
同研究所専務理事の辻村定次氏は、建築物の設計や計画を審査する建築確認で耐震強度の偽装が見抜けなかったことについて、「『官から民へ』の流れの中で、一九九八年に建築基準法が改悪され、建築確認事務が民間に開放されたことが事件の背景」と指摘。「民間開放で制度の性格が、監督・規制型から、当事者責任型へ移行したのも重大な問題」と強調しました。
討論では設計、施工、行政の立場からそれぞれ報告。新建築家技術者集団全国常任幹事会議長の高橋偉久氏、同研究所研究委員の庭野峰雄氏、国土交通省全建設労働組合副委員長の玖村徳則氏が発言しました。
会場からは「民間開放で、行政の体制は脆弱(ぜいじゃく)化し、意識も低下」(行政職員)、「行政で建築確認をする人員が足りないなら、補強すべきだった。民間に任せればいいというのは、全く逆」(設計士)など、安全まで「民間丸投げ」の現行制度に批判が相次ぎました。