2005年12月14日(水)「しんぶん赤旗」
元駐米大使 首相靖国参拝を批判
“戦争正当化の歴史観”
栗山尚一元駐米大使が、最近発売された雑誌『外交フォーラム』二〇〇六年一月号に発表した論文で、小泉純一郎首相の靖国神社参拝を「支持できない」と批判しています。
『外交フォーラム』は、外務省が編集協力している外交問題の専門誌。栗山氏は「近隣諸国(具体的には中国、韓国、そして将来は北朝鮮)との和解は、日本外交にとって未解決の重要課題」だとし、「和解」のためには、加害者である日本が「歴史の負の遺産を直視する勇気」と「過去への反省を実際の対外的な行動に反映させる努力」が必要と述べています。
その上で、日本の過去の「植民地支配と侵略」への反省を述べた戦後五十年の村山富市首相(当時)談話と今年八月の小泉首相談話の内容を紹介。この二つの談話と靖国神社の歴史観が「相容れない」ことは「同神社の博物館(遊就館)の展示品の説明文や出版物を読めば、誰でも気づくこと」と述べています。
その「典型的な例」として「靖国神社が一貫して使用している『大東亜戦争』という呼称」を挙げ、「当時の日本政府が用いたこの呼称が、戦争を正当化するために掲げた大東亜共栄圏構想と表裏の関係にあることは、歴史的事実として国際的にも広く知られている」と強調。
「総理大臣をはじめ、政府の責任ある立場にある者が靖国神社に参拝することは、こうした同神社の『大東亜戦争』肯定の歴史観を共有しているとの印象を与える結果となりかねないので、控えるべきである」と主張しています。