2005年12月14日(水)「しんぶん赤旗」

イラク人死者「3万人」

米大統領が初めて言及


 【ワシントン=山崎伸治】ブッシュ米大統領は十二日、ペンシルベニア州フィラデルフィアでイラク問題について演説し、終了後の質疑応答で、イラク戦争以来のイラク人の死者の数を「三万人前後」だと述べました。同氏がイラク人の死者数に言及するのは初めて。

 これまで国防総省はイラクの民間人死者数については集計していないとの立場でした。ブッシュ氏は、米兵の死者は二千百四十人にのぼると述べました。

 十日付の米紙ワシントン・ポストは民間でのさまざまな調査をふまえ、イラクの民間人の死者数を最小で二万七千三百六十八人、最大で三万八百七十七人としています。

 ブッシュ氏のイラク問題での最近の連続演説はこれが三回目。米国がフィラデルフィアで独立宣言をしたことに関連させ、「中東の中心に永続的な民主国家を築く」と強調。「歴史上、自由な社会に移行するのに、難題や後退、初歩での誤りに直面しなかった国はない」とし、米国のイラク占領とイラク情勢の行き詰まりを正当化しました。

 十五日のイラク国民議会選挙について、「事実上民主主義の経験のなかった国にとって大きな変化だ」と述べ、選挙後の課題として、(1)治安の確保(2)排他的でない政府の樹立(3)法の支配と和解の確立(4)民主主義の維持―を指摘。イランとシリアを名指しして、イラクの「民主化」を妨害していると非難しました。


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