2005年12月17日(土)「しんぶん赤旗」
靖国・歴史で日本に厳しく
国際組織 日中韓問題で報告書
【ブリュッセル=浅田信幸】ブリュッセルに本部を置く有力な国際的シンクタンク、国際危機グループ(ICG)は十五日、「北東アジアの紛争の底流」と題する報告書をソウルとブリュッセルで同時発表し、日中韓三国間で「くすぶる紛争を沸騰させない」で地域協力を発展させるよう呼びかけました。
報告は、日中韓の関係が「領土要求と異なる歴史解釈」をめぐって対立を深めているとし、解決は困難だが「実践的な信頼醸成と制度づくり」に直ちに取り組むべきだと指摘。「北東アジアは、共通する政治・安全保障問題に取り組む機関をもたず、最も統合が進んでいない地域」だとしています。
また「小泉首相の靖国神社参拝と右翼グループによる歴史解釈を修正する歴史教科書作成の試みは中韓両国の警戒心を刺激し、日本は第二次世界大戦での犯罪を反省していないとの感情を増幅させた」と指摘。日本は「ドイツと異なり、自国の歴史の継続的、批判的検証にほとんど関心を示していない」と断定しました。
報告はさらに「防衛能力でより『普通の』国になろうとする日本の動きと結びついて、歴史をめぐる争いは、この地域での日本軍国主義復活の恐れを増大させている」とも述べています。
報告は二十二項目の勧告をし、日中韓に米国を加えた四カ国に向けて「歴史問題を外交に直結させないこと」などを列挙。日本政府には▽戦死者の新たな追悼施設の建設に加え、従軍慰安婦など「日本の戦争犯罪の個々の犠牲者を支援するため公的資金を活用する基金を設立する」▽「日本の植民地事業をたたえるものであれ過小評価するものであれ閣僚には公的な発言を控えさせる」―などを提言しています。