2005年12月17日(土)「しんぶん赤旗」
遺伝子組み換え食品の表示はこれでいいの?
〈問い〉 市販の納豆の原材料表示について「JAS法では、実質的に遺伝子組み換え大豆が5%以下なら「遺伝子組み換えでない」との表示が許容されているそうですが、どう考えますか?(奈良・一読者)
〈答え〉 遺伝子組み換え食品の表示については、政府は従来、米国と同様、「安全性が確認されているのだから表示は必要ない」という立場でしたが、「表示すべき」という運動が広がるなかで、5年前ついに、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)及び食品衛生法による表示制度に基づいて、遺伝子組み換え食品の表示義務化を決めました(01年4月1日から実施)。これは「消費者の知る権利、選択の自由の確保から表示すべき」というねばり強い運動の結果でした。
現在、5つの農作物(大豆、トウモロコシ、ジャガイモ、ナタネ、綿の実)と、大豆、枝豆、トウモロコシ、バレイショ、モヤシなどを原料とする加工食品31品目が表示の対象です。
組み換え農作物を原料とした加工食品については、「遺伝子組み換え」か「遺伝子組み換え不分別」(組み換えか非組み換えかが分別できないもの)の表示が義務付けられています。
分別生産・流通管理が行われた非遺伝子組み換え農作物からつくられた加工品は、5%組み換え原料が入っていても「組み換えでない」と「任意」に表示できることになっています。
ヨーロッパでは、組み換え農作物の混入は0・9%までしか認められていません。日本の基準は大問題です。さらに、大豆油、しょうゆ、コーン油などは、加工後に組み換えDNA、たんぱく質が残らないという理由で、組み換え表示はしなくてもいいのです。
このため、「混入率をEU基準の0・9%以下に」「大豆油等についても表示義務付けを」という運動が、いま各地で起こっています。
組み換え食品は「DNA組み込みによって退化していた毒性機能が再活性化する可能性がある」「作物の遺伝子組み換えに伴いアレルギー誘発性が有意に増加する可能性がある」「新たに導入されたたんぱく質がアレルギー誘発性を有する可能性がある」などの問題が指摘されています。
消費者は、安全な食べ物を求めています。消費者に正確な情報を提供する表示は、不可欠です。そのために、遺伝子組み換え表示を早急に見直すべきだと考えます。(岩)
〔2005・12・17(土)〕