2005年12月18日(日)「しんぶん赤旗」
侵略の歴史に向き合う
研究者ら
憲法・靖国問題でシンポ
首相の靖国神社参拝問題や歴史認識問題を考えるシンポジウム「憲法・靖国と歴史の見方」が十七日、東京・豊島区のラパスホールで開かれ、三人のパネリストが研究者や宗教者の立場から発言しました。
歴史研究者や市民でつくる「『建国記念の日』に反対し思想・信教の自由を守る連絡会」が主催しました。
「教科書問題と『靖国史観』」の題で話した明治大学教授の山田朗氏(史学)は、「『つくる会』教科書は、戦争の性格を棚上げにして、無条件に戦争犠牲者を神聖視する。靖国神社の論理と共通する」と指摘。「侵略の歴史に正面から向き合うことが民主的な社会構築の基礎になる」と語りました。
専修大学名誉教授の隅野隆徳氏(憲法学)は「改憲論にみられる意図」と題し講演。自民党「新憲法草案」が「自衛軍」を明記したことについて「(自衛)隊を軍に変えて、軍法会議も設置し、一般市民の生活もその管理下に置く。軍事的価値と『公益』を国民の人権よりも上位に位置付ける案だ」と批判しました。
また一九八二年に第二臨調(土光臨調)が、軍拡路線と新自由主義的改革を打ち出したことを指摘。「二十一世紀に向けて、財界が目指す方向がすでに表明されていた」と語りました。
平和を実現するキリスト者ネット事務局の糸井玲子氏は首相の靖国神社参拝について「キリスト者にとって死は大切なもの。それを国家によって意味付けをされることは耐えられない」「キリスト者も戦争に協力した。つぐないとして平和運動に取り組む」と話しました。