2005年12月19日(月)「しんぶん赤旗」

温暖化で台風大型化

京都 気象研研究者が報告


 地球温暖化で台風やハリケーンが強くなる――。十八日、京都市で開かれた「市民が進める温暖化防止2005」シンポジウムで、気象研究所の吉村純主任研究官が、地球温暖化とともに台風など強い熱帯低気圧が増えるという最新の模擬実験結果を報告しました。「これまで考えられなかった規模の暴風雨災害がもたらされる恐れがある」と警告しました。

 吉村さんは、地球の大気の変化を二十キロメートル単位で模擬計算するシミュレーション実験を紹介。今世紀終わりごろを想定し、最大風速別の熱帯低気圧の発生状況を調べたところ、台風の年間発生数は八十四個から五十五個に約30%減少するものの、最大風速が四五メートルを超える大型で強いものの出現が増えることがわかりました。強い雨が降るケースが増加する予想も。

 吉村さんは、過去三十五年間の観測データからも強い台風・ハリケーンが増加傾向にあるという海外の研究結果を紹介。地球温暖化で台風やハリケーンの「熱エンジン」に供給される「燃料」が増えることになると指摘しました。

 気象キャスターの井手迫義和さんは「ことし発生した台風二十三個のうち、半数以上の十三個が強い台風だった」と、世界で異常気象が多発していることをリポート。温暖化ガス排出削減が待ったなしの課題であることを訴えました。

 カナダ・モントリオールで開かれた京都議定書締約国会合に参加した気候ネットワークの浅岡美恵代表も報告。米ニューオーリンズを水没させ死者約千二百人、被害総額十二兆円以上をだしたハリケーン・カトリーナの警告に耳をかたむけ、「気温上昇二度未満におさえていくには、ただちに削減をはじめることが大事だ」と強調しました。国内で排出を抑える制度をつくり対策を実行すること、京都議定書を第一歩に日本政府がさらに大きな中長期の削減目標をもつこと、京都議定書の参加国を広げることを呼びかけました。


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