2005年12月20日(火)「しんぶん赤旗」

イラク国民議会選

占領軍撤退掲げるスンニ派

議席増確実で各勢力歩み寄り


 【カイロ=小泉大介】十五日に実施されたイラク国民議会選挙(定数二百七十五、任期四年)は、大勢判明までさらに数日かかる見込みですが、各政治勢力の間では、新議会の最初の任務である正式政府樹立に向けた駆け引きが始まっています。

 注目されるのが、米軍の攻撃への反発から一月末の暫定国民議会選挙をボイコットし、今回は積極参加に方針転換したイスラム教スンニ派勢力の動向です。前回十七議席にとどまり政治舞台から排除されたスンニ派は、今回は大幅議席増が確実。同派に対し他の政治勢力が歩み寄りと連携の姿勢を見せています。

 移行政府のジャファリ首相(イスラム教シーア派)は十七日、スンニ派に対し「新たなイラクの建設のため次の議会で手を携えて協力することを待ち望んでいる」と表明しました。同首相が所属するシーア派の政党連合「統一イラク同盟」は前回選挙で過半数の百四十議席を獲得しましたが、今回は過半数確保が微妙になっています。

 同首相はまたスンニ派宗教者に対し「統一と自由の原理を広めるため指導力を発揮する」よう求めました。

■選挙は「成功」

 一方、国民議会選挙に参加したスンニ派政党連合「イラク合意戦線」の指導者、ドレイミ氏は十七日、選挙を「成功」と評価。「イラク人の権利を守るため国民議会で強力な連立をつくるために働くつもりだ」と述べ、スンニ派としての連立参加に意欲を見せました。

 スンニ派住民は、政治舞台からの排除で、憲法起草に意見が反映されなかったことや同派への人権侵害が相次いだことに危機感を深めており、それが今選挙への積極参加の理由となりました。

■連立へ協議も

 汎アラブ通信社クドス・プレスの十八日の報道によれば、世俗派政党連合の「イラク国民リスト」を率いるアラウィ前首相も、クルド人勢力に加えスンニ派勢力との連立協議に乗り出したと伝えました。

 クルド人政党連合の「クルド同盟」は、前回選挙で七十五議席を獲得し、シーア派勢力と連立を組みましたが、この間、シーア派に権力が集中していると反発を強めてきました。アラウィ前首相は、クルド人、スンニ派との連立で政権交代をめざす構えと見られます。

 スンニ派勢力は選挙に際し、連邦制の規定を中心とした憲法の改正とともに、占領軍の撤退を強く要求。他の勢力は、撤退を掲げながらも、その条件としてイラク治安部隊の強化の必要性を強調しました。いずれの勢力にも、スンニ派と連立する場合の最大の課題として、多国籍軍撤退問題にいかに対応するかが問われています。


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