2005年12月23日(金)「しんぶん赤旗」
米政権の国民議会選礼賛
イラク国内から反論
【カイロ=小泉大介】イラクで十五日に投票された国民議会選挙についてブッシュ大統領をはじめとした米政権やイラク政府首脳から礼賛の発言が相次いでいますが、イラク国内ではこれに反論する声が起きています。
イラクの独立系有力紙アザマン二十日付社説は、「チェイニー氏とイラク指導部は幸せを分かち合っているようだが、選挙の成功をもたらしたのは国民自身である」と強調。「イラク人が投票に行ったのは現状に満足しているからではない。疲労と絶望のなかにあるイラク人は、投票によって、占領を終結させ、状況改善をもたらす政府を選ぶことに希望を見いだしたのだ」と指摘しました。
チェイニー米副大統領は十八日、イラクを突如訪問。「画期的ですばらしい選挙の結果に励まされた」などと国民議会選挙を手放しで評価しました。親米で知られる移行政府のタラバニ大統領(クルド人)はチェイニー氏を「イラク解放の英雄」と持ち上げ、「イラクは中東民主化のモデルとなった」と応じました。
これに対しイスラム教スンニ派政党連合「イラク国民対話戦線」幹部のムトラク氏は、南部のイスラム教シーア派地域での同戦線候補者の殺害や投票妨害の事実を指摘、「真の民主化過程がイラクで進んでいるなどと信じてはならない」と強調。さらにイラクに混乱をもたらした米軍は撤退すべきだと主張しました。