2005年12月28日(水)「しんぶん赤旗」
統合核作戦ドクトリンとは?
〈問い〉 日本共産党第24回党大会決議案にある「統合核作戦ドクトリン」の内容をもう少しくわしく教えてください。(埼玉・一読者)
〈答え〉 「統合核作戦ドクトリン」とは、米政権が10年ぶりに改定を進めている核兵器使用作戦の新しい基本指針をいいます。
ブッシュ大統領の指揮のもと、米軍統合参謀本部が改定作業を進めており、今年3月15日に、最終草案が示されました。国防総省が02年1月に議会に提出した報告「核態勢見直し」(秘密版)の核先制使用戦略を具体化するもので、非核保有国を含めた諸国にたいする先制核攻撃の要件をこれまで以上に拡大させた大変危険な内容となっています。
最終草案の第3章は、米軍地域統合軍の司令官が最高司令官である大統領に核兵器使用許可を要請できる場合として次の8つをあげています。
(1)敵が、米国、多国籍軍、同盟軍、民間人にたいし大量破壊兵器を使用するかもしくは使用の意図を持っている場合
(2)生物兵器を使った敵の攻撃が差し迫っており、核兵器使用でのみそれを安全に破壊する効果をあげうる場合
(3)化学・生物兵器を貯蔵する大量破壊兵器用の深く堅牢な地下貯蔵庫を含む敵の施設や、米国や友好国、同盟国にたいし大量破壊兵器の攻撃をおこなうための指揮統制施設を攻撃する場合
(4)圧倒的に強力な敵の通常兵器に対抗する場合
(5)米国に有利な条件で戦争を迅速に終結させる場合
(6)米国や多国籍軍の作戦を確実に成功させる場合
(7)敵の大量破壊兵器使用を阻止するため、米国が核兵器を使用する意図と能力を誇示する場合
(8)米国、多国籍軍または民間人にたいし、敵が供給した大量破壊兵器を代理者が使用するのに対抗する場合
敵が大量破壊兵器を使用する「意図」がある場合や、大量破壊兵器の貯蔵施設攻撃など、威嚇としての核兵器の使用を認めるものになっています。
ホワイトハウスが02年9月に発表した「国家安全保障戦略」は、米国に歯向かうであろうと判断した国にたいして先に攻撃する先制攻撃戦略を公然と打ち出しました。ブッシュ政権は、使いやすい核兵器を開発し、通常兵器との垣根を取り払い先制使用することを追求しています。(遠)
〔2005・12・28(水)〕