2005年12月29日(木)「しんぶん赤旗」
100年ぶりの監獄法改正、どうみる?
〈問い〉 監獄法が改正されたそうですが、共産党はどうこれをみていますか?(山梨・一読者)
〈答え〉 今回の百年ぶりの監獄法改正は、2002〜03年に発覚した名古屋刑務所の暴行致死事件の反省から設置された行刑改革会議の提言をふまえ、受刑者の人権を尊重し、真の改善更正及び円滑な社会復帰を促すことを大きな目的とし、様々な処遇改善を盛り込んでいます。
法案としては、監獄法の中の無罪の推定を受ける未決の被拘留者の処遇を除いた部分が「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」案(以下「新法」)として提案されました。
日本共産党は、この法案に代用監獄(警察の留置場)の恒久化に結びつきかねない規定が盛り込まれているとして修正案を提出しましたが、賛成少数で否決されました。しかし、改正案が、現実に刑事施設の処遇を大きく前向きに変えていくものとして賛成し、全会一致で成立しました。
新法は、受刑者の権利義務が明確にされ、面会や通信等の外部交通の拡大、人権救済のための不服申立制度の改善、社会一般水準の医療の保障を規定しています。また、受刑者の更生、社会復帰対策が強化され、刑務作業以外に個々の受刑者に応じた改善指導や教科指導が義務づけされています。さらに新法で、閉鎖的になりがちな行刑施設の透明性を確保し、適正な運営を維持するために、刑務所ごとに地域市民や弁護士等で構成された「刑事施設視察委員会」という第3者機関を設置したことは、とくに注目すべきことです。
しかし、新法では、必要な職員や設備が確保できていないということで、運動時間の保障や土曜・休日・夜間の面会、単独室原則など残された課題もあります。
また、今回の改正で解決されず、今後の大きな課題に代用監獄問題があります。新法に引き続いて代用監獄問題を含む未決拘禁者処遇法の立法が予定されています。日本共産党は、人権侵害の温床で、えん罪の元凶とも言われ、国際諸機関からも厳しい批判を受けている代用監獄の恒久化に対しては、断固反対します。(田
〔2005・12・29(木)〕